アルファルファの栄養繁殖に関する研究 (I) : 茎挿し繁殖における根の形態形成(園芸農学)

概要

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植物の栄養器官の一部が, 不定根, 不定芽を分化して植物体に復原することは, 作物の栄養繁殖, または牧草の再生現象などに関係するので, 農業上重要な問題である。本報告はアルファルファの茎挿し繁殖における根の形態形成に関する組織解剖学的観察を試みたもので, 得られた主な結果は次のとおりである。1) 挿し木時から挿し木後16日までの根源体の発現と発達過程の経日変化は, 挿し木後3日目から挿し穂基部の肥大がおこり, 挿し木後6日目頃に根源体の発現が観察された。挿し木後12∿16日目になると, 新生木部, 形成層と根源体との連絡が認められた。2) 根源体の発現位置は形成層に接する篩部付近の細胞分裂増殖に始まり, 形成層から篩部にかけて根源体は発現した。その後表皮の亀裂と皮層の肥大が進むと共に, 根源体は次第に発達し, 皮層のやわらかい組織中を伸長して発根した。3) 挿し穂切口のカルス形成に及ぼす挿し床の水分条件の影響は, 挿し床のポットを水をはったバット中に浸漬するという過湿の状態におくと, 挿し穂切口のカルス形成は抑制されて, 殆んどの個体で切り口から直接発根した。