アルファルファの生理的特性に関する研究.第9報 : アルファルファの夏季生育におよぼす土壤水分の影響

概要

論文の詳細を見る
夏季灌水による土壤水分がアルファルファの生育と体内成分におよぼす生理的機作を検討するための実験を行い, 次の結果が得られた。(1) アルファルファはH区(毎日6mm灌水)で最も良好な生育を示し, M区(3日毎6mm灌水)がこれに次ぎ, L区(無灌水)の生育は極めて不良であった。(2) 土壤水分の収量におよぼす影響はH区で最も多く, 次いでM区, L区の順で, H区のM区に対する増収率は44%であり, M区に対しては実に71%にも達した。(3) 土壤水分が欠乏するとN, P, K3要素の吸収が減少するばかりでなく, 炭水化物代謝が阻害されて, 体内炭水化物含有量も減少した。(4) このように夏季乾燥時の灌水処理は単に植物に水を供給することだけでなく, 地温を下げる効果があり, 再生に際しては茎数を増加させ, 3要素の吸収量を増し, 水分代謝や光合成などを円滑にして乾物生産を増加させることを示している。終りに本実験を行なうに当り, 終始懇篤なるご指導をいただき, 本稿の取纒めについてご教示いただいた京都大学教授長谷川浩博士に厚く御礼申し上げる。
神戸大学の論文