就労を目的として滞在する外国人における識字能力の現状と今後の課題
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概要
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1990年の出入国管理法の改正により就労を目的として滞在する外国人(以下、就労外国人と呼ぶ)が急速に増加し、1998年末現在その数は22万1千人を数えている。このような外国人の急増に伴い、彼らと地域社会との間に様々な摩擦も生じはじめている。本研究の目的は、このような地域社会における問題の解決策を探る糸口として、愛知県豊田市及び三好町に在住する就労外国人の識字能力の現状を分析し、その結果に基づいて、今後の日本語・識字教育の在り方への提言を行うことにする。就労外国人の識字能力の現状を調査するため、8人の日系ブラジル人に対して、1995年7月から2ヶ月に1回、計6回の面接調査を行い、生活の課題に深く関連したことばに対する理解能力、音読能力、書字能力を調査した。分析の結果、1)読み能力に関しては、まず身近なカタカナ、及びカタカナ語の音読・理解能力の習得が進み、次に、ひらがな、ひらがな語の音読・理解能力の習得が進む可能性があるが、漢字語に関しては、意識的な学習が行われない限り、音読・理解能力の習得は進まないと考えられる、2)書字能力に関しては、まず身近なカタカナ、カタカナ語の書字能力の習得が進むが、ひらがな、漢字の書字能力の習得は意識的な学習が行われない限り進まないと考えられる、という結果が得られた。本稿の最後では、調査結果に基づき、社会教育、及び社会福祉の観点から、今後の就労外国人に対する日本語・漢字教室に対する提言を行う。
- 筑波大学の論文
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