トウガラシ(Capsicum spp.)果実の辛味成分含有量の経時的変化
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概要
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トウガラシ果実中の辛味成分であるカプサイシノイド含量の経時的変化を明らかにするために,C.annuumとC.frutescens-chinense complexの各2系統を供試し,開花後20日おきに果実を収穫し,カプサイシノイド含量を測定した。開花後20日目からカプサイシノイド3成分(capsaicin,dihydrocap-saicin,nordihydrocapsaicin)が検出され,含量の系統間差,種間差が認められた。登熟ステージ(開花後日数)により含量は大きく変化し,経時的変化のパターンには系統間差が認められた。したがって,カプサイシノイド含量の評価にあたっては,果実の登熟ステージのばらつきを考慮した果実のサンプリング法が必要と考えられた。また,いずれの系統も果実の成熟期とは無関係に開花後40日目前後に最大含量を示したことから,カプサイシノイド含量の最大値を評価するためには,開花後40日日頃の果実を収穫,測定することが必要と結論した。カプサイシノイド3成分の組成比に系統間差がみられたが,登熟ステージによる変化は認められなかった。ネパールにおいて,1984年以来,植物遺伝資源の収集と聞き取り調査を行ってきた。作物別の収集点数とその標高分布から,ネパールの農業における新大陸起源の作物の占める位置について考察した。新大陸作物は栽培の歴史が短いにもかかわらず,ネパールの農業において重要な位置を占めていた。トウモロコシはイネに次ぐ栽培面積と生産量を持つ丘陵地帯の最も重要な穀類となっており,多くの在来系統と,多様な作付体系が成立していた。バレイショはイモ類生産量の70%を占め,他作物の栽培が困難な標高3500m以上まで栽培されており,高地における重要な主食作物となっていた。さらにトウガラシはネパールの食生活に欠かせないものとなっている。これら収集した新大陸作物(トウモロコシ,インゲンマメ,アマランサス,トウガラシ)の在来系統の諸特性を栽培調査したところ,多様な変異が認められ,遺伝資源として有用であることを確認した。
著者
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豊田 美和子
信州大学農学部
-
原 曄男
信州大学農学部
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南 峰夫
信州大学農学部
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氏原 暉男
信州大農
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Minami Mineo
Faculty Of Agriculture Shinshu University
-
井上 匡
信州大学農学部応用生命科学科生物資源開発学講座
-
井上 匡
信州大学農学部
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井上 匡[他]
信州大学農学部
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