ソバ属(Fagopyrum)の種間交配における花粉管伸長

概要

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普通ソバ（Fagopyrum　esculentum : 以下F. e)と野生種３種（F. Cymosum, F.urophyllum, F. Leptopodum : 以下それぞれ，F. c, F. u, F. l）間の交雑親和性を明らかにするために，４種間の交配を行い，花粉の発芽と花粉管伸長を調査した。得られた結果は以下の通りである。(１)　F. eとF. lの組合せで，花粉が発芽しない場合がみられたが，その他の種間交配組合せでは種間交配と同様に，すべての雌ずいで花粉の発芽と花粉管の花柱内への伸長が認められた。(２)　種間交配では花粉管先端部が肥大して伸長を停止しているものが認められ，花粉管の伸長は種内交配より明らかに劣った。種内交配では大部分の雌ずいにおいて花粉管の子房内への伸長が見られたのに対し，種間交配では，F. eとF. cの正逆交配とF. u×F. lだけで観察された。(３)　花粉管長／花柱長比率から，F. eとの交雑親和性はF. c＞F. u＞F. lの順であり，F. eを母本にした方が良いと考えられた。
信州大学農学部の論文