糯白米の貯蔵中における品質変化
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概要
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糯白米を5℃および30℃に長期間保存した場合の品質の変化とかこわにしたときの性質について調べた。1.密閉保存の条件下では保存期間を通じて水分値は0.1〜0.2%程度の減少にとどまり,5℃と30℃保存では両者にとくに違いは認められなかった。吸水率は5℃保存の方が高く,また保存期間を通じてわずかに高くなる傾向が認められたが,30℃保存では低下の傾向が見られた。また,吸水率比は5℃保存の方が高く初期吸水の大きいことが認められた。2.保存50週目の圧砕硬度は30℃保存の方が小さい。3.還元糖の5℃保存はあまり変化はなかったが30℃では著しく増加した。4.アルカリ抵抗度は保存25週目から小さくなった。保存期間を通じて5℃と30℃保存の違いは認められなかった。5.酸価は5℃保存ではゆるやかな増加にとどまったが30℃では大きく増加した。過酸化物価は全期間を通じて低かった。これらのことから30℃保存における脂質の劣化は加水分解によるものが大きく,自動酸化は比較的低いと考えられた。カルボニル価は5℃,30℃保存ともにゆるやかに増加したが30この方がその程度が大きい。水抽出酸度は25週目以降30℃保存で急激な増加を示した。6.蒸米吸水率は30℃保存の方が低く,また保存による減少の程度が大きい。また浸漬米吸水率(120分)と蒸米吸水率のあいだには1%有意で正の相関が認められた。7.蒸しおこわのテクスチャーにおいて,硬さは30℃保存の方が,付着性は5℃の方が高い値を示した。凝集性と弾力性はわずかに30℃が大きい。8.蒸しおこわの硬さと蒸米吸水率のあいだには5%有意で,また浸漬米吸水率(120分)とのあいだには1%有意で負の相関が認められた。9.炊きおこわのテクスチャーにおいて直後,30分後ともに硬さでは30℃保存が,付着性では5℃保存が大きな値を示した。凝集性と弾力性では40週目以降5℃の方が小さい。10. 2点嗜好試験において香り,つやについては保存期間を通じて,味については初期に5℃保存の方が好まれた。硬さと粘りについては有意差は認められず,総合は後期に5℃が好まれた。2点識別試験において色については高度に有意差が認められたが,硬さと粘りについては有意に識別されたとはいえなかった。
- 1990-03-20
著者
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