六甲山系における山腹植栽工林地の土壌回復について(林学部門)

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概要

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六甲山系は過去において大規模な人為的干渉を受け, 殆んど全山が裸地と化したところである。その後, 明治の末期より山腹植栽工が施工され, その結果, 現在は緑が回復し立派に成林している。したがって, これらの森林は植生および土壌の経時的遷移について調査しうる貴重な場所と考えられるので, 今回とりあげて, 相互の様相を考察した。その結果要約すれば次のとおりである。1)全般に土層が薄く, 砂質で土壌水分は乏しい。層位もやや不明瞭である。しかし植生遷移の進行に伴なって, 土壌も僅かではあるが遷移の様相を呈している。2)本地域の土壌はいずれも強酸性で無機養分も激しい溶脱化のため乏しい。3)全般的に土壌の理化学性はよくない。この程度の経過年数では, たとえ地上部の緑が回復しても, 土壌はまだまだ未熟であって, 良好な植物群落-土壌系の発達には長期間が必要でその維持, 管理は容易でないと考える。
京都府立大学の論文
1982-11-20

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