土石流に関する研究 IV : 流速および衝撃力について(林学部門)
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概要
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土石流の衝撃力の大きさとその機構の解明という観点から筆者らは, 従来より実験水路を用い, その中で土砂と水とを混合した流体を凝似土石流として流下させ, 種々の測定を行ない研究をすすめてきた。とくに, 第III報では, 衝撃力を流体の単位体積重量と関連させて考察を行なったのであるが, 他の研究あるいは実験値との比較, という点から考え, その上でさらに議論を進めて行こうとするなら, 流体の流動特性に結びついた, 適当な物理量の導入が必要と思われる。そこで今回の実験にあたっては, 小型土圧計による従来通りの衝撃力の測定に加えて, 凝似土石流の流下速度の正確な測定を実施し, それらの結果を実験の各因子・水準について考察した結果, 以下の事項が認められた。1.流速の測定値に最も大きな影響をもつ因子は流下距離である。2.清水のみを流下させる場合と凝似土石流を流下させる場合とでは, 流速の値して著しい差がみられる。これは, 流下時の流れの形態の相異によるものと考えられる。3.流速に対する粒度組成の影響は極端ではないが, 一定の傾向が認められた。4.土圧計により測定された衝撃力の値と下流端の流速の測定値を用いて計算された理論的衝撃力との比αは単位体積重量との間に関数関係がみられた。5.αは今回の実験の範囲では0.11と1.22の間の値をとるが, これは実験に用いた水路の勾配が10°から15°と急なため, 従って流速の値は大きくなり, そのため理論的衝撃力の計算に際して流速の2乗の項の延びが大きく影響してきたものと思われる。
- 京都府立大学の論文
- 1973-10-15
著者
-
日浦 啓全
京都府立大学農学部林学科砂防工学研究室
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大手 桂二
京都府立大学農学部林学科砂防工学研究室
-
日置 象一郎
京都府立大学農学部砂防工学研究室
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大手 桂二
京都府立大学農学部
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日置 象一郎
京都府立大学農学部
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