砂防ダム底面にかかる揚圧力に関する研究(林学部門)
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概要
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砂防ダムは貯水ダムと異なりその機能上当然堆砂を生ずる。従つて砂防ダムの揚圧力がこの堆砂によつてどのように影響を受けるかを理論的解析解と実験とによつて検討を行ない, 堆砂状態のいかなる場合においてもその揚圧力を知る解法を得た。揚圧力を生ずる水は地下水の流れとして解くことが出来, しかも, 2次元として考えられる。地下水の流れが2次元の定常的な流れであるならば, 等角写像によつて解明されることが出来るから, Schwarz-Christoffelの定理を応用して揚圧力分布の解析を行なつた。種々の条件についての実験をサンドモデルによる方法と電気的解析法による方法とを併用して行ない, 実験結果と解析解の数値計算の結果とを照合して考察した。1)ダムの下流側に堆砂なく上流側に堆砂を進行させると揚圧力は減少し, ダム底面よりの堆砂高がダム底面長と等しくなると堆砂のない場合の約65%まで低下する。ここで, ダム上流面が鉛直な場合, 堆砂の進行による揚圧力降下は最も大きく, 上流面が緩になるに従つてわずかずつ影響は小さくなる。2)ダム上下流両側の堆砂が等しい場合(ダム底面が砂層中に埋め込まれている場合), 堆砂の進行に従い(埋め込みの深さが増すに従い)上流端揚圧力の降下と同じ割合で全く対称的に下流端揚圧力が上昇し, 上流端では約65%に, 下流端では約35%に漸近する。この場合, 埋め込みの深さのいかなる時も全揚圧力比率は等しく, ダム底面よりの堆砂高がダム底面長以上になると圧力分布S曲線はほとんど直線に近づく。3)ダム底面を砂層中に埋め込んで上流側のみ堆砂が進行する場合, 揚圧力は次第に降下し下流側に堆砂がない場合に限りなく近づく, すなわち, 下流側堆砂による影響が次第に少なくなる。また, 下流側堆砂の相異による上流側堆砂高の進行につれて降下する上流端揚圧力比を示す曲線は互いに決して交わることがない。以上の結論から, 解析解および実験の結果をもととして検討を加え, ダム上下流両側の堆砂状態がいかなる場合においても揚圧力が求められる図表を得た。
- 京都府立大学の論文
- 1963-09-01
著者
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