山腹植栽工によって成立した植物群落における遷移に関する研究 II : 六甲山系における山腹植栽工での事例(林学部門)
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概要
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六甲山系の植生は, その約80∿90%にわたって二次的に成立したアカマツ林およびコナラ林であるとされている。しかし, このうちの約44%にもおよぶ面積に, 明治35年以降, 砂防植栽工が施されて現在に至っているのである。これら砂防植栽工を施工した結果, 成立した林分について調査・解析を行なった結果につき, 以下に示す事項が認められた。1.過去の砂防植栽方法の差にもよるが, 昭和20年を境にしてその前後でアカマツ林とニセアカシア林・フサアカシア林などの砂防植栽林とに区別される。2.植生状況について, 階層構造が発達した林分ほどより良い環境にあるという見方をすると, 調査した林分はいずれも階層構造は認められるがNo. 6プロットを除いて, 満足できる環境にまでは至っていないと考えられる。3.これらの林分の環境の推移と下層植生の発達との間に何らかの関連性があるものとして, 下層植生のうちの高木種の成育ぶりに注目し, これらの種の各層への侵入状況から, 下層植生の充実度というものを仮定し, これを算定することを試みた。4.その結果, アカマツ林のNo. 4プロット, No. 6プロットおよびフサアカシア林のNo. 16プロットが他のプロットに比べ, 遷移という点に関しては, 好条件を保持していることが判明した。
- 京都府立大学の論文
- 1979-12-20
著者
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