運転初期における残油水素化脱硫触媒の活性劣化に及ぼすコークおよびメタルたい積の影響
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概要
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The hydrodesulfurization reaction with two kinds of atmospheric residues was carried out over three kinds of catalysts with different mean pore diameters to obtain catalysts with different deposited amounts of coke and metal on their surfaces. Elemental analysis and physical properties were carried out to elucidate the effects of coke and metal depositions on catalyst deactivation at an early stage of the reaction. Coke density (pc) and metal density (pm) calculated from the mean pore diameter determined by mercury porosimetry were independent of the kind of catalyst used, and operation time, were 1.25 and 2.50 g/cm3, respectively. These results indicate that the effect on the decrease in pore volume of coke deposition was almost double to that of the metal deposition. Furthermore, accumulative thicknesses of coke and metal on the pore of the catalyst were calculated from decrease in pore diameter, based on the assumption that the pore was simply composed of uniform cylinder. Accumulative thicknesses were different with different kinds of catalyst used and they decreased more, the smaller the surface areas. The initial deactivation constant was directly related to the accumulative thickness of coke and metal. Moreover, it was found that the effect of the coke deposition accumulative thickness on reduction of pore diameter was almost triple to that of metal deposition. The catalyst deactivation on the SOR (start of run) in the hydrodesulfurization reaction was mainly responsible for the deposition of coke on the catalyst.2種類の常圧残油(AR)の水素化脱硫反応を平均細孔径の異なる3種類の触媒を組み合わせて行い,操作日数を変化させてコークおよびメタルたい積量の異なる使用済触媒を得た。これらの元素分析および物理性状の測定(窒素脱吸着法・水銀庄入法)を行い,初期活性劣化に及ぼすコークおよびメタルたい積の影響を定量的に検討した。水銀庄入法による平均糾し径から算出されたコーク密度(Pc)およびメタル密度(pm)は操作日数や触媒種を変化させても同一であり,それぞれPc=1・25g/cm3,Pm=2. 50g/cm3となった。この結果から,コークたい積が細孔容積の減少に及ぼす影響はメタルのそれの約2倍になった。また,細孔を単純な円柱と仮定して,平均細孔径の減少から計算されたコークのたい積層厚さおよびメタルのたい積層厚さは,触媒によって異なり,表面積の小さな細孔径の大きい触媒ほど大きくなった。総括劣化速度式で求めた初期劣化定数(α1)はたい積層厚さとともに増加した。これらの結果より,単位たい積量あたりのたい積層厚さはコークの方がメタルより3倍以上大きく,運転初期(SOR)での触媒劣化機構が主にコーク劣化で進行することを定量的に示すことができた。
- 2002-09-01
著者
-
甲斐 敬美
鹿児島大学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻
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高橋 武重
鹿児島大学工学部応用化学工学科
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出井 一夫
コスモ石油(株)中央研究所
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高橋 武重
鹿児島大学工学部 応用化学工学科
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高橋 武重
鹿児島大学工学部
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甲斐 敬美
鹿児島大学工学部 応用化学工学科
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甲斐 敬美
鹿児島大学
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