残油水素化処理における溶媒添加による触媒の活性向上および劣化抑制
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概要
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本研究では,触媒存在下で残油の水素化処理条件において溶媒の添加効果に関して検討し,残油の水素化処理における水の特異性を調べた。 溶媒を等容量添加してオートクレーブによる活性評価を行った結果,水素化脱硫(HDS)活性の序列はH2O > LCO > Tetralin > None(base)> 1-MN > Phenolであった。一方,触媒上へのコークたい積量は,溶媒を添加した場合,いずれも低減した。 Tetralinについて,H2Oと等モル数添加した評価も行った。Tetralinは添加量の増加とともにHDS活性は向上したが,等モル数で比較しても,H2Oの添加効果は顕著であり,特異的にHDS活性を向上させている。 アスファルテン等の重質成分の脱離促進は,コーク生成を抑制する一方,添加溶媒は残油と競争して触媒上の活性点を占有する。添加溶媒の活性点における滞留時間が長いと,溶媒自身は水素化される一方,他の反応基質が活性点に吸着できないため,反応阻害となる。したがって,添加溶媒の反応阻害は活性評価結果とその転化率から考察した。 H2Oは,他の添加溶媒と比べて触媒に強吸着したアスファルテンおよび脱硫生成物の触媒上からの脱離促進効果が大きい。また,他の添加溶媒より触媒上の活性点における滞留時間は短く,反応阻害は小さいため,特異的な添加効果を示すであろうと考えられる。
- 2004-09-01
著者
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