論理回帰分析法による脳機能画像からの知識の発見

概要

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近年, 脳の非侵襲計測技術が急速に発達し, 詳細な脳機能画像が得られるようになった.これにより, 脳の部位と脳の機能の対応関係を調べることができるようになった.本研究では, 機能的磁気共鳴画像(functional Magnetic Resonance Imaging:fMRI)で撮影した脳機能画像から, 論理回帰分析法を用いて脳の部位と脳の機能の対応関係に関する知識の発見を行う.脳の部位と機能の対応関係は, 例えば「言語野のある部位と運動野のある部位が失語症のある症状の責任部位である」というようなルールで記述することができる.脳機能画像からの知識発見は, パターンデータからの知識発見であり, これらは記号データや数値データからの知識発見と異なる新しい分野である.特に, パターンデータでは隣接するデータ(例えば隣接する画素間)に高い相関があることを考慮する必要がある.論理回帰分析法は, 回帰分析と, その回帰分析の結果から得られる回帰式からのルール抽出の二つの段階から成る.回帰分析には, 今回はノンパラメトリック回帰分析を利用する.これは, 脳機能画像ではサンプルデータが少なすぎて通常の線形回帰分析を実行できないことによる.ノンパラメトリック回帰分析は連続性や滑らかさなどの制約を入れるので, パターンデータの特性を生かすことができる.回帰式からのルール抽出には, 我々が開発してきた近似法を用いる.これにより, 脳の機能と関連する部位の結合関係をAND, OR, NOTで表すことができる.我々は, 指のタッピング(親指とその他の指をつけたり離したりする動作)と暗算を課題として脳機能画像を撮影し, それぞれの課題に関連する脳の部位を抽出する実験を行った.今回の課題は比較的単純なものであるが, 論理回帰分析法によって良好な結果が得られた.
人工知能学会の論文
2001-03-01

論理回帰分析法による脳機能画像からの知識の発見

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