黄色ブドウ球菌性α毒素の炎症皮膚への影響
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概要
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皮膚壊死作用のあるα毒素を産生するStaphylococcus aureusを実験的皮膚炎部に接種した場合のα毒素の発現,α毒素を皮内注射した場合の皮膚の変化を光顕・電顕的および免疫組織学的に検討し次のことが考えられた.1)実験的皮膚炎部でのα毒素の発現 α毒素を産生するS. aureusをモルモットクロトン油皮膚炎部に接種した場合,菌が表皮全層に拡大,侵襲し菌塊を形成する時期に蛍光抗体法での毒素の陽性蛍光が観察された.2)α毒素を皮内注射した場合の皮膚の変化 α毒素を50,500ng(S. aureus Wood46株,5×107,5×108cfuの産生する毒素量にほぼ相当)皮内注射した場合,真皮内にinterferon-gamma(IFN-γ)が顆粒状に発現した後,intercellular adhesion molecule 1(ICAM-1)が血管壁に発現・増強する.500ng投与群では表皮にICAM-1が発現・増強した後,表皮へ向かう著明な多核白血球浸潤像が観察された.電顕的に表皮の変性・壊死像,表皮真下真皮の膠原線維の変性像および真皮の著明な多核白血球の崩壊・変性像を認めた.α毒素はdose dependentであるが,少なくとも感染症を起こしうる菌量のS. aureusが産生するα毒素が真皮に存在すればICAM-1が血管壁・表皮に発現し,その後浸潤・崩壊した多核白血球による組織障害が起こりうるものと思われる.以上の結果よりS. aureusが産生するα毒素は皮膚炎を憎悪する可能性が考えられた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
-
秋山 尚範
岡山大学医学部皮膚科
-
戸井 洋一郎
岡山大学医学部皮膚科
-
多田 讓治
岡山大学医学部皮膚科
-
荒田 次郎
岡山大学医・皮膚科
-
多田 讓治
岡山大学医学部皮膚科学教室(主任 荒田次郎教授)
-
神埼 寛子
岡山大学医学部皮膚科学教室(主任 荒田次郎教授)
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