皮膚科領域より分離したStaphylococcus aureusのglycocalyx産生性の検討
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概要
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dv・dv腫症,伝染性膿痂疹,アトピー性皮膚炎より分離したStaphylococcus aureus各5株のglycocalyx産生性および熱傷部皮膚へのS. aureusの接着を観察することによりS. aureusのglycocalyx産生性とその対策について検討した.1)マウスの絹糸縫合部皮膚にS. aureusを塗布・密閉する方法でdv・dv腫性,伝染性膿痂疹,アトピー性皮膚炎より分離したS. aureus各5株すべてで著明なfibril様構造(glycocalyx像)の産生を認めた.S. aureusは接着の初期に好中球などによる貪食から逃れた場合,普遍にglycocalyxお産生し,biofilmを形成しうる可能性が考えられた.2)マウスの背部に100℃の分銅を10秒間圧抵して作製した熱傷部ではS. aureusは菌接種3時間後よりfibril様構造(glycocalyx像)を産生し,多糖体を含む膜様構造物(biofilm像)内に認められた.一方,マウスの背部に60℃,80℃の分銅を3秒間圧抵して作製した熱傷部ではS. aureusは菌接種1時間後よりfibril様構造を産生した.In vitroの観察で,熱傷皮膚+滅菌生理的食塩水中ではS. aureusは菌接種3時間後よりfibril様構造を産生した.熱傷皮膚片+マウス血清中ではS. aureusは菌接種1時間後からより多量のfibril様構造を産生した.S. aureush生体成分の存在なしにglycocalyxを産生しうるが,S. aureusの接着早期のglycocalyx産生および多量のglycocalyx産生には生体成分の存在が必要であると考えられた.熱傷部皮膚表面に形成されたbiofilmへの対策としてトリプシン製剤の湿布が有用である可能性が考えられた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
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秋山 尚範
岡山大学医学部皮膚科
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鳥越 利加子
岡山大学医学部・歯学部附属病院皮膚科
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多田 讓治
岡山大学医学部皮膚科
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森下 佳子
岡山大学医学部皮膚科学教室
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荒田 次郎
岡山大学医・皮膚科
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神埼 寛子
岡山大学医学部皮膚科学教室(主任 荒田次郎教授)
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