皮膚病変におけるStaphylococcus aureusの検出について
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概要
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アトピー性皮膚炎,湿疹・皮膚炎,その他の皮膚疾患よりStaphylococcus aureusの検出を行った.分離S. aureusについてoxacillin(MPIPC)の最小発育阻止濃度(MIC)の測定を行いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出した.1)成人アトピー性皮膚炎の湿潤性病変(湿潤+群)では検討した季節を問わずS. aureusが100%検出された.湿潤性病変を有しない群(湿潤-群)では7月から10月までより11月から1月の間のS. aureusの検出率の低下か見られた.MRSAは抗菌剤の投与を受けていない患者では検出しなかったが,抗菌剤の投与を受けた患者では皮膚表面より容易に検出された.2)湿疹・皮膚炎群(アトピー性皮膚炎は除く),その他の皮膚疾患群(潰瘍は除く)では季節を問わず湿潤+群は50%以上にS. aureusを検出し,湿潤-群では約15%の検出率であった.MRSAは湿疹・皮膚炎群では手湿疹に,その他の皮膚疾患では皮膚カンジダ症で他疾患より多く検出されたが,MRSAの多くは入院患者のコンプロマイズドホスト由来であった.皮膚病変上にメチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)が定着している症例に抗菌剤を投与した場合,MRSA に菌交代する症例が見られるため,MSSAが定着した皮膚病変を早期に治癒せしめることおよび皮膚表面にMSSAが定着している症例にむやみに内服,外用抗菌剤を投与しないことがMRSA院内感染防止対策上重要と考えられる.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
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