アトピー性皮膚炎の皮膚病変部より検出されたStaphylococcus aureusの毒素・酵素産生性の検討
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概要
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アトピー性皮膚炎患者の皮膚病変部より分離されたStaphylococcus aureusの各種毒素・酵素産生性の検討を行い伝染性膿痂疹,dv・dv腫症由来株との比較を行った.1.Enterotoxin,toxic shock syndrome toxin-1産生性 Enterotoxin(SE),toxic shock syndrome toxin-1(TSST-1)のうち1つ以上の毒素を産生する株は伝染性膿痂疹由来株で10/30株(33.3%),dv・dv腫症由来株で20/23株,(87.0%),アトピー性皮膚炎由来株で101/149株(67.8%)であった.dv・dv腫症由来株ではSEA産生株を18/23株,(78.3%)に認めた.アトピー性皮膚炎由来株ではSEB産生株を80/149株(53.7%),SEA産生株を23/149株(15.4%)に認めた.SEBを産生するS. aureus80株中72株(90%)はそのtiterが16倍以上と比較的高力価産生株であった.2.カゼイン分解酵素活性 伝染性膿痂疹,dv・dv腫症由来株では40株すべてが酵素活性を認めた.アトピー性皮膚炎由来株では129/141株(91.5%)に酵素活性を認めた.3.API ZYMを用いた各種酵素産生性 伝染性膿痂疹,dv・dv腫症,アトピー性皮膚炎由来株とも酵素産生性に差は見られなかった.4.皮膚症状が重症のアトピー性皮膚炎症例より分離した7S. aureusのα,β,δ毒素産生性 α毒素は20/20株(100%),β毒素は12/20株(60%),δ毒素は17/20株(85%)に認められた.以上のごとくアトピー性皮膚炎の皮膚病変に定着したS. aureusはSE,特にSEBなどのスーパー抗原およびα,β,δ毒素を高頻度に産生した.皮膚病変部で産生されたこれらの毒素がアトピー性皮膚炎の増悪にどのように関与しているかは今後の課題である.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
-
秋山 尚範
岡山大学医学部皮膚科
-
神崎 寛子
岡山大学医学部皮膚科
-
戸井 洋一郎
岡山大学医学部皮膚科
-
鳥越 利加子
岡山大学医学部・歯学部附属病院皮膚科
-
多田 讓治
岡山大学医学部皮膚科
-
森下 佳子
岡山大学医学部皮膚科学教室
-
荒田 次郎
岡山大学医・皮膚科
-
森下 佳子
岡山大学医学部皮膚科
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