京都市におけるササの葉の生産および流通
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
京都市では, 左京区の北部山間地域でササの葉が採集され, 京都市内で食品の包装や祇園祭厄除け粽の作成に利用されてきた。本研究では, ササの葉の採集・加工方法と流通・利用状況を明らかにするとともに, 最近まで京都市内でササの葉を生産し, 利用する体制が維持されてきた要因を明らかにすることを目的とした。調査の結果, 当地域の花脊別所町と大原百井町の集落周辺の里山で, 裏に毛のないササの当年生葉が採集され, 天日乾燥されていたことが明らかになった。また, 広葉樹の択伐といった里山管理がササの旺盛な生育につながっていた可能性が示唆された。このような地域の知恵や技術により, 品質の良いササの葉を生産し, 利用する体制が最近まで維持されてきたと考えられた。一方, 2004年から2007年にかけて京都市内のササが一斉開花・枯死した以降は, 他の産地のササの葉が利用されていた。また, ササの葉の生産に関して後継者も不足していることが明らかとなった。京都市において再びササの葉を生産し, 利用していくうえで, ササの葉の生産に必要な労働力を確保すること, ササの葉の生産に関する地域の知恵や技術を伝えていくことが重要であると考えられた。
著者
-
柴田 昌三
京都大学フィールド科学教育研究センター
-
深町 加津枝
京都大学大学院地球環境学堂
-
柴田 昌三
京都大学フィールド科学教育センター
-
阿部 佑平
京都大学大学院農学研究科
-
奥 敬一
(独) 森林総合研究所関西支所
関連論文
- タケ類Melocanna baccifera(Roxburgh)Kurz ex Skeelsの開花 : その記録と48年の周期性に関する考察(Bambooはなぜ一斉開花するのか?〜熱帯から温帯へのクローナル特性と開花更新習性の進化を探る〜)
- 草食性哺乳類がミヤコザサの地上部と地下部に与える影響 : 採食排除後4年目の調査から
- 天王山における放置モウソウチク林の林分構造と整理伐後3年間の動態
- ヒノキ林化した都市近郊二次林における小面積伐採後初期の木本種組成の変化
- のり面緑化における鳥類の種子散布に関する予備的研究 : 人工とまり木と擬似餌による鳥類の誘引効果について
- タケ類 Melocanna baccifera (Roxburgh) Kurz ex Skeels の開花 : その記録と48年の周期性に関する考察
- 人工土壌の性能と利用・開発の課題(平成4年度全国大会分科会報告)
- 日本国内におけるタケ・ササ類のてんぐ巣症状
- 土壌水分および気温が常緑広葉樹の光合成活動に与える影響
- 海岸自生植物を用いた緑地における雑草防除を目的とした海水散布実験 : 関西国際空港2期空港島における試み(第38回大会)
- ICLEE報告(1)
- モウソウチク(Phyllostachys pubescens Mazel ex Houzeau Lehaie)(緑化植物ど・こ・ま・で・き・わ・め・る)
- はじめに : 31巻1号の刊行にあたって(第36回大会)
- 特集「緑化工施工後一定期間経過後の事例とモニタリング手法」の連載開始について
- 関西国際空港2期空港島における海岸自生植物生育の試み(第35回大会)
- 播種工における発生期待本数の推定方法に関する研究
- 表土マット移植工法を用いたのり面緑化に関する調査研究(II)
- 表土マット移植工法を用いたのり面緑化に関する調査研究(I)
- 竹資源の新たな有効利用のための竹林施業(拡がるタケの生態特性とその有効利用への道)
- 里山構成樹6種の伐採4年後における萠芽枝の消長
- ヒノキの雄花生産量に土壌条件と強度間伐が及ぼす影響
- ヒノキ林化した都市近郊二次林における木本種の埋土種子と散布種子(第36回大会)
- 落葉広葉樹および常緑広葉樹の個葉レベルでの光合成および蒸散速度の季節変動特性の違い
- 数種常緑広葉樹における気孔コンダクタンスのモデル化
- 数種常緑広葉樹の光合成・蒸散速度の日変化と季節変化について
- ミヤコザサによる寒冷地の道路法面緑化に関する研究(I) : ミヤコザサの植栽後2年間の成長と環境条件の影響
- 京都市市街地北部地域における活力度が高い樹木葉の色彩の評価
- 表土マット移植工法を用いた法面緑化に関する調査研究
- 自生ササ類の地下茎を用いたのり面緑化試験(第33回大会特集)
- はじめに : 第30巻1号の刊行にあたって
- モウソウチクと日本人(里山保全再生技術 モウソウチク)
- 伝統行事「松上げ」における森林資源利用の地域特性
- 滋賀県西部の農村集落における昭和前期の子どもの遊びを通した自然資源と空間の利用
- 大井川中流域の茶園卓越景観における日中の来訪者による景観認識比較
- はじめに : 29巻1号の刊行にあたって
- 特集「里山保全再生の技術 モウソウチク」にあたって(里山保全再生技術 モウソウチク)
- 「エコロジー緑化の成果と課題」(みどりのエコ・テクノロジー 共生の技術をめざして)
- 七代目小川治兵衛による清風荘庭園の作庭過程と空間的特色
- これからの森林風景計画の行方(フォーラム「森林学の過去・現在・未来」(3))
- 北ベトナムの2大産地における竹林(Dendrocalamus membranaceus)の地上部現存量
- 京都市におけるササの葉の生産および流通
- 賀茂別雷神社における神饌に用いられる生物資源と供給形態
- 大都市近郊に位置する京都府木津川市鹿背山地区における1880年代以降の里山景観の変遷
- 住宅購入検討者の庭園所持や住宅の緑に対する意識についての研究
- 「桂垣」と「桂垣」裏ハチク林に関する研究
- 丹後半島山間部の棚田景観の変遷と棚田の残存要因に関する研究
- 宮津市上世屋地区における棚田保全に向けた関係者の連携に関する研究
- 西の湖におけるヨシ群落の管理頻度と植生変化の関係
- 異なる光環境下におけるチュウゴクザサの実生の成長