異なる光環境下におけるチュウゴクザサの実生の成長
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概要
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本研究では,光環境とチュウゴクザサの実生の成長との関係を明らかにするため,異なる光環境下(相対日射量が約90%,73%,55%,28%,15%の5 つの試験区)でチュウゴクザサの実生を育成し,成長量に関して調査を行った。調査の結果,チュウゴクザサの実生は,日射量が全天下の半分程度の試験区で地上部及び地下部の成長量が大きく,それより日射量が大きいまたは少ない環境下では成長量が小さいことが明らかとなった。チュウゴクザサの自生地においては,林冠ギャップ地の相対日射量は44~56% であり,林冠下の相対日射量(16~32%)より有意に大きかった。これらのことから,光環境はチュウゴクザサの実生の地上部と地下部の成長に影響を与えると考えられ,自生地においては,林冠ギャップ地のような比較的明るい環境が実生の成長に有利であると考えられる。また,本研究では,いずれの試験区でも1 年生の実生において地下茎の発生が確認され,2 年生から3 年生の実生にかけて地下茎の伸長が確認されたことから,チュウゴクザサは光環境に関わらず更新初期段階から地下茎を伸長させるといった旺盛な地下茎の伸長様式を有すると考えられる。
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