共重合体加硫ゴムの引張破壊特性 : ゴムの破壊機構に関する研究 (第2報)
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概要
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加硫ゴムの引張破壊特性に関する一連の研究のうち, スチレン量の異なるスチレン-ブタジエン共重合体に関する研究を行なった前報に引き続き, 今回は, イソプレン-ブタジエン, スチレン-イソプレン, メチルメタクリレート-イソプレンの3種の共重合体加硫ゴムの引張破壊特性について検討を加えた.その結果, 次のような結論が得られた.<BR>1) 非晶性ゴムの破壊の位置は主としてゴム分子鎖自体であり, ゴム-カーボンブラック間の結合点の破壊は比較的少ない.また, この破壊の位置は, 実験温度の変化に対してあまり影響を受けないように思われる.<BR>2) 非晶性ゴムの破壊特性の温度依存性は, ポリマーの加硫前数平均分子量, 網目鎖数, イオウ結合様式などが多少異なっても, ガラス転移温度 (Tg) で代表される分子量の温度依存性と良い対応を示す.すなわち, 破断時伸びの最大値を与える温度は, ポリマーのTg差だけ変化する.<BR>3) 伸びの最大値は, イソプレン-ブタジエン系では組成の差の影響をあまり受けず, 一方スチレン-イイプレン系では, 主鎖中のスチレンの増加に伴って減少する傾向を示す.このことは, コポリマーを構成する2つの成分のホモポリマーのTgが大きく異なる場合には, Tgの高いほうの成分はみかけ上伸びに寄与しないという形態をとり, 一方, 両者のTgにあまり差がない場合には, 共重合組成の差はみかけ上伸びに対して影響を与えないと考えられる.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文
著者
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藤本 邦彦
ブリヂストンタイヤ
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右田 哲彦
ブリヂストンタイヤ(株)調査企画部
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粕谷 辰男
ブリヂストンタイヤ (株) タイヤ開発研究部
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右田 哲彦
ブリヂストンタイヤ (株) 中央研究所
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粕谷 辰男
ブリヂストンタイヤ (株) 中央研究所
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藤本 邦彦
ブリヂストンタイヤ (株) 中央研究所
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