純ゴム系および充てん剤系NR加硫物の引張破壊特性
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概要
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伸長結晶性の加硫ゴムの破壊特性は, 伸長非結晶性の加硫ゴムと異なり, かなり高温まで高い伸びと破断時応力を維持することが特徴である. これは伸長過程での配向結晶化に起因し, 主としてポリマー構造の規則性, 橋かけ間分子鎖長, 橋かけ形態に依存する. 本研究では, 伸長結晶性ポリマーとして天然ゴム (NR) を選び, 橋かけ間分子鎖長がどのように破壊特性に影響を与えるかを, 広い温度範囲での破断時応力, 伸び, 破断面の形態, およびNMRによる分子運動性から検討し, 以下のような結果を得た.1) 伸長結晶性を示すNR加硫物の引張破壊挙動は, 純ゴム系, 充てん剤系のいずれにおいても, 伸長非結晶性ゴム加硫物の温度依存性と異なり, 転移領域から高温領域にかけて高い伸びを維持し, 箱型分布を示す. この分布は, ゴム分子鎖構造の規則性, 橋かけ間分子鎖長の関数である.2) 温度上昇に伴い, ゴム分子鎖の熱運動により自由体積が増加し, 近接分子鎖の局所磁場の影響を受けないほど十分大きい自由体積となる温度において, 配向結晶化は阻害され, 破断時伸びおよび応力は急激に低下する. 各温度の間には次の関係が成立し, いずれも橋かけ間鎖長 n•l に比例する.TH=TE=TS∝n•lここに, THは近接分子鎖間相互作用の消滅する温度, TEは破断時伸びの最大を示す温度, TSは充てん剤系加硫物において界面破壊からゴムマトリックス破壊に転移する温度である。3) 純ゴム系加硫物の最大破断伸長比 αb(TE)は, 膨潤網目鎖密度νSの-1/2乗に比例し, 温度TE(=TH) においては分子鎖はほとんど伸長方向に配向し, 伸び切った状態にあると考えられる. また, ある温度にかける破断時応力σbが最大となる膨潤網目鎖密度は, その温度がTHに対応するようなνSをもつ加硫物であるといえる。4) 充てん剤系加硫物においては, 充てん剤量の増加により, 橋かけが充てん剤周辺の稠密構造部に片寄り, 充てん剤より離れた運動性ゴム分子鎖 (A相) の鎖長が増加することから, ゴムマトリックス部分の破断時伸びは増加し, 最大伸びに対応する温度は高温側に移行する.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文
著者
-
藤本 邦彦
ブリヂストンタイヤ
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右田 哲彦
ブリヂストンタイヤ(株)調査企画部
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右田 哲彦
ブリヂストンタイヤ(株)中央研究所
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右田 哲彦
ブリヂストンタイヤ (株) 中央研究所
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右田 哲彦
ブリヂストンタイヤ (株)
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