Mucor racemosus No. 50変異株の凝乳酵素標品によるチーズ製造について
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概要
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M. racemosus No.50の変異株を小麦ふすま固体培養および液体培養して調製した凝乳酵素(SR)を使用してゴーダチーズを試作し,以下の知見を得た. (1) SR酵素は凝乳力が良好で,硬くしっかりしたカ一ドを生成し,通常の製造条件を変更せずにチーズ製造が可能であった. チーズ製造における固形分回収率は仔牛レンネット(HR)に比べて遜色がなく,チーズ収量の低下を生じなかった. (2) SR酵素による試作チーズの蛋白分解は名糖レンネット(MR)使用チーズよりも低値, HR使用チーズよりも高値で推移した.SR酵素間の比較では,精製酵素(MCE)使用チーズの蛋白分解がもっとも低値で推移した. (3) PAG電気泳動によるSR使用チーズの蛋白分解パターンはMR使用チーズと同様にβ-カゼイン分解型であり,β-カゼインよりも移動度の小さい特異的なバンドが認められた.β-カゼイン分解物は熟成4カ月後のSR使用チーズにも明瞭に認められ,熟成中に低分子化されがたいものと判断した. (4) SR使用チーズの風味は,一部に苦味の生成がみられたが,全般的に, HR使用チーズやMR使用チーズに比べて遜色なく良好であった.精製度の異なるSR酵素使用チーズの品質評価結果から, SR酵素生産の際に副生するプロテアーゼは必ずしも除去する必要はないものと判断した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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