昆虫によるホルモース糖の利用試験

概要

論文の詳細を見る
天然糖類および水と比較しつつ,ホルモース糖に対する昆虫の誘引性,摂食性,利用性などについて実験し,次の結果を得た. (1) アリのホルモース糖への集合性はマルトース,シュクロース, D-グルコースよりは劣るが,ラクトース, L-ラムノース, L-アラビノース, D-マンノース, D-ガラクトース,水よりはすぐれ, D-フルクトース, D-キシロースと同程度であった. (2) ホルモース糖を給餌したスジマダラメイガの生存日数,産卵数の増大はD-グルコースよりは劣るが,シュクロース, D-フルクトース, D-キシロース, L-アラビノースおよび水と同等の効果が得られた.メイガ体中には,遊離糖アルコールとしてグリセリン,エリスリトールなどが存在するが,このパターンはホルモースを与えた場合でも変化しない. (3) ホルモース糖は,ミツバチによっては糖源としては利用されず,むしろ生育阻害的効果をもたらし死に至らしめる.ミツバチ体中には,遊離糖アルコールとしてグリセリン,エリスリトール,リビトールが存在し,この定常パターンはホルモースを与えた場合,異常なパターンに変化する.
社団法人日本農芸化学会の論文