アミノ酸の光学活性に関する酵素学的研究(第10報) : グルタミン酸生産菌のアシラーゼ活性について
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概要
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グルタミン酸生産類縁菌株について,アミノ酸アシラーゼ活性を検索し,その一つについて若干の性質を試験した. (1) 供試菌株のほとんどがアセチルーメチオニンに対し活性を示した.しかし,アセチルーフェニルアラニンに対して活性を有する菌株は少なく,かつ弱かった. (2) 供試菌株中 Corynebacterium glutamicum 9632がアセチルーメチオニンに対し最も強い活性を示し,その酵素的性質について調べた結果, a) pH5〜8で安定で,至適反応pHは7.0付近である.b) 40°C程度までは安定であり,至適反応温度は40〜45°Cである,c) Co2+その他の金属イオンにより賦活されない.d) 脂肪族中性アミノ酸のアシル化物に作用し,芳香族および塩基性,酸性アミノ酸のアシル化物にはほとんど作用しない.また,アシル基としては,クロロアセチルー>アセチルー>ベンゾイルーの順に作用力を有する.e) アシルーL-アミノ酸に特異的に作用する.以上のことが明らかとなった. (3) アミノ酸,とくに脂肪族アミノ酸の光学分割に比較的大量の菌体を容易に得ることのでぎるグルタミン酸生産菌が利用し得ることはアミノ酸の分割にとって,きわめて有利であると考える.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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田中 正生
協和醗酵工業株式会社医薬研究所
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峯浦 和幸
協和醗酵工業株式会社富士研究室
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峯浦 和幸
協和?酵工業東京研究所
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田中 正生
協和醗酵工業医薬研究所
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峯浦 和幸
協和醗酵工業株式会社富士工場研究室
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峯浦 和幸
協和醗酵工業株式会社東京研究所
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