凍結乾燥ニンジンの貯蔵性 : とくに, 抗酸化剤添加および, 熱処理によるLycopeneの減少と貯蔵温度について(2)
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概要
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1. 無処理区では, 凍結乾燥処理ニンジンの貯蔵性, とくに, Lycopene の残存率から見ると, 0°C貯蔵で60日間, 10°Cでは40〜50日間, 30°C貯蔵では30日間貯蔵で減少率が50%となり, 異臭発生, 退色現象がきわめて高い.2. L-As-A添加区では, 0.5%以上の添加率では100日前後の貯蔵が可能となり, 長期貯蔵は不可能である. これらは, 吸湿などにより, 抗酸化効力の消失により酸化に起因すると考えられる. また, 酵素の作用により, 自己消化に伴う酸化(2,11)重合の結果, 異性化, および最終的に腐敗へと進行, L-As-A添加による貯蔵効果の限界は日前後となる.3. Blanching 処理区では, 0°C貯蔵で300日間はやや困難で異臭, 退色現象がわずかに現出, 100日間貯蔵は品質面, Lycopene 減少率からも充分可能である. 10°C, 30°C貯蔵区では, 30〜60日間貯蔵で異臭の発生が見られ, Blanching 効果は消失する.4. Blanching+L-As-A添加区では, 減少率から見られ1.0〜5.0%添加すれば, 貯蔵温度が, 10°C, 30°Cでも300日間の貯蔵は可能であるが, やや退色, 異臭を有し, Lycopene の残存率のみから見ると効果はきわめて高い. 0°C貯蔵では, 300日間で Lycopene の減少率は15〜16%となり, 退色, 異臭発生もなく, ニンジン特有色調を充分保持した. これは, 水分含有量の増加もきわめてわずかであり, Blanching による酵素の活性力の抑制, L-As-Aの抗酸化性が相互に働き, その抑制力が充分に日間持続し, 異性化, 酸化, 重合などが抑制された結果を得た.このことは, Blanching+L-As-A添加1.0%以上5.0%以内で, 0°Cでは長時間の貯蔵は充分可能であることを示した.5. Lycopene の減少は, 貯蔵温度のみならず, 水分含有量によつて大きく影響されることは明白であり, 油脂性物質の Lycopene は長期貯蔵中に酸化, 重合を防止すれば異性化も起こらず, カーボニル化合物との関係での風味, 香味, 色彩が影響されず, 充分凍結乾燥により, 長期貯蔵が可能である.
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