グラジオラス及びオキザリス (Oxalis bowieana Lodd.) におけるけん引根の肥大•収縮と子球の肥大について
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概要
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1. グラジオラスは第3葉が展開するころ, 葉鞘基部と母球との間の短縮茎より約10本のけん引根が発生し, オキザリスは母球植え付け後底盤部より吸収根とともに1本のけん引根を発生した. けん引根重は葉数が最大になった時点で最大値に達したのち, 収縮に伴い減少したが, その減少は収縮初期に特に大きかった. グラジオラスの子球 (球茎) は葉鞘基部が肥大して形成され, オキザリスのそれ (鱗茎) は母球の腋芽の肥大により形成され, さらに地中茎の各節にも形成された. 2種類とも, 子球乾物重の増加初期はけん引根の収縮による重量の減少の大きい時期に相当した. そこでけん引根の収縮に伴う重量の減少分が100%子球の重量増加に寄与するものと仮定して, 寄与率を計算すると, グラジオラスでは22.4%, オキザリスでは64.7%の値が得られた.2. 各部位における炭水化物, 窒素化合物の消長は乾物重のそれとほぼ同様であった. グラジオラス, オキザリスともに, 葉, 母球, 子球の炭水化物はその多くあるいはほとんどが多糖類であり, 特にオキザリスの母球, 子球ではほとんどがデンプンであった. 一方, けん引根では, 肥大初期から最高期にかけて, 全炭水化物の70〜90%が可溶性糖類であったが, その後収縮に伴って全炭水化物ならびに全糖量が急減した. 窒素化合物は各部位とも不溶性窒素の割合が高かった.3. けん引根の乾物重減少の大きい収縮初期, その減少分がそのまま子球の乾物重の増加に寄与すると仮定して, けん引根の子球肥大に対する寄与率を計算した. その結果, オキザリスでは64.7%と著しく高い値が得られたが, グラジオラスでは22.4%と低かった. このことから本来のけん引作用以外に, 養分の一時貯蔵器官としてのけん引根の役割を推定した.
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