ナスの葉の発育と光合成能力に関する研究
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概要
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ナスの第一花の下の葉数が8枚の苗を選び, 第一花直上の1枚を含む9枚の葉について, 発育に伴う外, 内部形態と光合成速度の変化を明らかにした.1. 葉長に対する葉重の増加割合はL5で最大で, その上, 下の葉で低く, 葉面積のそれは上位葉で大きかった.2. 比葉重 (SLW) は展開時上位葉ほど高く, その後上位葉では低下し, 下位葉では若干増大•低下して, 移植35日後にはほぼ一定値となり, 葉位間の差もほとんどなくなった. この傾向はSLW/葉厚で特に顕著にみられ, かつ一定となった時点でも上位葉がわずかながら高かった.3. 単位葉面積当たりさく状柔細胞数, ないし葉肉細胞数はいずれの葉位でも展開期に多く, その後減少してほぼ一定値となった. また常に基部>中央部>先端部の順に多かったが, 一定値となる時点ではそれぞれの差はわずかとなった. ほぼ一定値となった時点での細胞数は上位葉ほど多かった. また, さく状柔細胞の大きさは葉の発育とともに増加したが, L3は7葉期に, L5は8葉期に, L8は11葉期にその増加を停止した.4. さく状柔細胞の含有葉緑体数はわずかながら先端部>中央部>基部の順に多く, 葉の発育とともに増加したが, L3は7葉期, L5は8葉期, L8は11葉期にその増加を停止した.5. 葉緑素含有率は葉の発育とともに増加し, L3, L5は8葉期に, L8は11葉期に最大値に達した後低下した. また各葉の最大値は上位葉ほど高かった. 全窒素含有率は葉の発育とともに低下し, その低下は上位葉で大きかった.6. 光合成速度は葉の展開に伴って高まり, 最大値はL3で8葉期の21.2, L5で10葉期の23.3, L8で11葉期の23.7mg CO2 dm-2h-1であった. 1葉当たりの光合成量も光合成速度と同様, 葉の発育とともに増大して,最大値に達した後低下した. また, 14葉期までの測定期間を通じて光合成速度と高い相関を示したのは葉緑素含有率のみであった.
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