栄養生長期のイチゴの葉からの14C光合成産物の転流における葉齢と葉位の影響
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概要
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栄養生長期にあるイチゴの葉齢を異にする単葉に14CO2を施与した場合, 施与16時間後の 14C 光合成産物の全転流率は, 展開中の葉では低かったが葉齢の増加とともに高まり, 葉齢40日で45%に達した. 全転流率の値と葉齢の増加に伴うその変化は, 葉位や新展開葉の存否にはほとんど影響されなかった. 一方, 14C 光合成産物の分配パターンは14C施与葉の葉位や複数 sinkの相対的な強さに大きく影響された. また, 同一葉位で葉齢を異にする葉に14Cを施与した場合, 葉齢40日で新展開葉の葉数が最も多くなるにもかかわらず, 根と新展開葉への分配率は葉齢10日でそれぞれ最少, 最大となった. 次に, 上位7葉を残して摘葉し, 各葉に 14CO2を施与した場合, L1 (最下葉) からL5までそれぞれの全転流率は 40〜50% であった. 葉に分配されたもののうち新展開葉への分配率は L1 では75%, L7では85% となり上位葉ほど高かった. 一方, 根への分配率はL1からL7まで順次低下し, 下位葉ほど高かった.イチゴの葉序は2/5とされるが, 分配パターンに葉序(あるいは葉序に対応するとみられる維管束の配列) による影響は認められなかった. 光を真上から与えた場合,光合成産物の総生産に対する各葉の寄与率はL5で25%と最大で,次いでL6の21%であった. また切り葉で測定した光合成能力は, L1かは L5までは大差なく, L6, L7 で幾分低い値を示した. 一方, 葉面積はL5, L6で大きい値を示した. これらの値から求めた相互遮へいの程度は, 上位3葉では20% 程度であったが下葉位葉ほど増加し, L1 では 67% にも達した.
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