イチゴの栄養生長期から休眠期にかけての光合成と光合成産物の転流•分配
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概要
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イチゴ‘ダナー’の栄養生長期から休眠期にかけての光合成と光合成産物の転流•分配の実態を, 主として生長点部を含めて上位の展開葉7枚を残し, 下位葉を摘除した植物体について調べ, 次の結果を得た.1. イチゴは緑葉をもったままいわゆる休眠に入るが,個葉の光合成能力は, 栄養生長期に比べて, 少なくとも休眠最深期までは大きく低下することはなかった. 一方, 立毛の状態での株全体の光合成能力は, 休眠最深期以降, 栄養生長期の約1/3, あるいはそれ以下に低下した. また, 株全体の光合成量に対する個葉の寄与率は最上位葉を除く上位3葉で高く, それぞれ20〜25%の値を示した.2. 生育時期を異にして14CO2を施与した後, 無加温ガラス室に15時間置いた後の光合成産物 (14C) の呼吸による消失率は, 栄養生長期施与の70〜54%から強制休眠期施与の31%にまで順次低下した. 一方, シンク部位への全蓄積率及び全転流率は, それぞれ休眠導入期施与の21, 45%から強制休眠期施与の15, 22%に低下した. しかし, 14CO2施与後18°Cに置いた場合には, 上記の値の変化は小さかった.3. 14Cの分配パターンは, 転流時の温度の影響を受けることが小さく, 専ら施与時の各シンクの相対的強さに影響されるものとみられた. すなわち, 葉への分配率は栄養生長期施与で高く, 強制休眠期施与にかけて順次低下し, 根へのそれは逆の変化を示した. しかし, 花房が着生する場合には, 花房が根以上に強いシンクとして作用した.4. シンク各部位への蓄積実量は, 蓄積率あるいは分配率の大小よりも光合成量の多少に左右され, 栄養生長期から休眠導入期にかけて大きく, またこの間は葉への蓄積が根へのそれに勝り, 全蓄積量の1/2に達した. しかし, 相対的に蓄積量が減少する休眠最深期以降においては, 葉への蓄積が急減する一方, 根への蓄積の低下は小さく, その量は全蓄積量の1/2に近かった.
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