ブドウの雌ずいに含まれる花粉管生長阻害物質について

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1. 4倍体ブドウ, ‘センテニアル’と‘ピオーネ’の開花期の花柱それぞれ5及び10個, 子房2及び5個を置床したカンテン培地 (10×10×3mm) では, 花粉の発芽が強く阻害された. この阻害物質の大部分は, 雌ずい置床後の10分間でカンテン培地へ拡散した. 雌ずい中のこの阻害物質は, 開花1週間前からほぼ一定のレベルで存在し, 開花時に自家受粉しても大きな変化はなかった.2. 4倍体品種の雌ずいからは2倍体品種よりはるかに強い阻害物質がカンテン培地に拡散し, 自家花粉及び他家 (‘マスカット•オブ•アレキサンドリア’)花粉とも強く発芽を阻害した.3. カンテン培地を雌ずいの水抽出物に浸漬した後に花粉の発芽試験をしたところ, 4倍体品種の‘センテニアル’, ‘巨峰’, ‘ピオーネ’などでは発芽及び花粉管伸長がともに強く阻害された. 2倍体品種は4倍体品種よりその程度が少なく, とくに‘キャンベル•アーリー’, ‘マスカット•ベーリーA’並びに‘タノ•レッド’では阻害活性は極めて低かった.4. 雌ずいの子房内や珠孔に到達した花粉管数は, 2倍体品種では‘マスカット•オブ•アレキサンドリア’でもっとも多く, ‘デラウエア’ではもっとも少なかった. 4倍体品種, とくに‘センテニアル’及び‘ピオーネ’では子房内に伸長する花粉管数が著しく少なく, 全体的に花粉管伸長阻害活性の強弱と傾向が一致した.5. 以上のように, ブドウの雌ずいには自家, 他家を問わず花粉の発芽や花粉管の伸長を阻害する物質が含まれていることが明らかとなった. 4倍体品種, とくに‘センテニアル’, ‘ピオーネ’などはその活性が強いために, ほとんどの花粉管が途中で伸長を停止し, 珠孔に到達しないため, 有核果の着生が少ないものと思われる.

ブドウの雌ずいに含まれる花粉管生長阻害物質について

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