ウンシュウミカン果実におけるエチレン誘導クロロフィル分解のアリルイソチオシアネートによる抑制

概要

論文の詳細を見る
ウンシュウミカン (<I>Citrus unshiu</I> Marc.) 果実におけるエチレンにより増進されるクロロフィル分解 (脱緑) のメカニズムを明らかにするため, エチレン作用の抑制剤であるアリルイソチオシアネートを用いて,エチレンとアリルイソチオシアネートの組み合わせ処理果実を用いて, 果皮色の変化, クロロフィラ剤ゼ活性, クロロフィリドaペルオキシダーゼ活性およびグアイアコールペルオキシダーゼ活性について測定した.その結果, エチレン処理により脱緑は進行し, それをアリルイソチオシアネートが阻害すること, この脱緑の程度 ((L+b) /2+a) とクロロフィラーゼ活性との間に高い正の相関関係 (r=0.9580,0.1%で有意)があること, クロロフィリドaペルオキシダーゼと脱緑の度合との間には, 相関関係は認められないこと,などを明らかにした. また, この脱緑というエチレンの作用は, クロロフィラーゼの活性増進によって引き起こされることから, この酵素がエチレン増進クロロフィル分解の鍵酵素であるという考えを提示した.