胃腸疾患における血清胆汁酸分画測定と経口胆汁酸負荷試験の臨床的意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
諸種の胃腸疾患48例の血清胆汁酸分画を高速液体クロマトグラフィー法にて測定した. その結果, 盲係蹄症候群, 広汎腸切除例, 胃切除例において, 血清胆汁酸のうち遊離型分画の相対比率増加, および二次胆汁酸である deoxycholic acid の相対比率の増加を認めた. この現象は腸内細菌過剰増殖による胆汁酸脱抱合, および7α-脱水酸化 (二次胆汁酸生成) 亢進の結果と推測された. 一方腸疾患12例にUDCA300mg経口負荷試験を施行した. その結果, 回盲部疾患4例 (クローン病1例, 回盲部を含む広汎回腸切除1例, 回盲部切除1例, 回盲部潰瘍1例), 広汎小腸障害2例 (広汎空腸切除1例, 蛋白漏出性胃腸症1例) に胆汁酸血中濃度曲線の Area Under Curve (AUC) 低下, 即ち胆汁酸吸収低下を認めた.従つて血清胆汁酸分画測定は, 腸内細菌過剰増殖を推定する上で有用であり, 一方経口胆汁酸負荷試験は, 回盲部の吸収試験として利用可能と考えられた. この両方法を併用すれば吸収不良症候群と腸内細菌過剰増殖症候群の鑑別診断に利用できる可能性があると考えられた.
著者
-
松崎 靖司
筑波大学臨床医学系消化器内科
-
三田村 圭二
東京大学医学部第一内科
-
大菅 俊明
筑波大学臨床医学系
-
井廻 道夫
東京大学医学部第3内科
-
小沢 邦寿
東京大学医学部第1外科
-
正田 純一
東京大学医学部第1外科
-
松崎 靖司
筑波大学臨床医学系
関連論文
- 経皮経肝胆嚢ドレナージ後のMTBE直接胆石溶解療法が奏功した高齢急性胆嚢炎合併多発大胆嚢結石の1例
- 肝管空腸吻合術後, 吸収不良症候群・蛋白漏出性胃腸症を呈した無痛性慢性膵炎の一例
- 血中胆汁酸測定による腸内細菌過剰増殖及び吸収不良の両病態の鑑別
- 97 肝癌合併食道静脈瘤に対する内視鏡的栓塞療法の有用性(第25回日本消化器外科学会総会)
- 腫瘍選択的ポルフィリン蛍光に対するNOの効果
- 示-20 Budd-Chiari 症候群に対する琉大方式による直達手術(第42回日本消化器外科学会総会)
- P1-4 肝癌例に対する肝切除術式の適応の決定(第38回日本消化器外科学会総会)
- 門脈侵襲またはChildC肝硬変を有する肝細胞癌に対するリピオドール-マイトマイシン懸濁液反復動注療法の肝機能への影響と治療効果
- B型肝炎ウイルスの Pre-core 領域の解析
- フルタミドによるラット実験的肝障害に対するウルソデオキシコール酸の効果
- 2. HCV抗体陽性,HBs抗原陰性肝細胞癌発癌におけるHBVDNAの組み込みと染色体不安定性の関与
- 溶血性貧血予測のためのHPLCによる赤血球内リバビリン濃度測定
- リバビリンとインターフェロン併用療法における血漿および赤血球内リバビリン濃度
- 慢性C型肝疾患患者の肝癌のフォローアップ戦略と,QOLからみた陽子線照射療法による治療戦略
- ハムスター分離腸細胞におけるイリノテカン(CPT-11)とその代謝産物の吸収機構の解析
- 肝細胞癌に対する内科的治療 放射線療法
- 同一彫師による刺青後同時に発症したC型急性肝炎2例とHCV抗体陽性であった3症例
- 肝細胞癌に対する陽子線治療の肝機能への影響と照射線量・容積に関する検討
- 443 Nocardia Cell Wall Skeleton (N-CWS) の術後胃癌に対する治療効果について(第26回日本消化器外科学会総会)
- 経皮経肝門脈造影像による内視鏡的食道静脈瘤栓塞療法後再発因子の検討
- 薬物性肝障害の治療 : 治療の実際とEBMに基づくUDCAの効果
- 肝疾患における最近のトピックス : 慢性肝炎患者の治療法とフォローアップから, 肝癌の早期発見と新しい治療法まで
- 大腸癌と甲状腺乳頭癌を重複した家族性大腸腺腫症の1例
- 硬化性胆管炎 (自己免疫疾患の原因・機序はここまで明らかになった) -- (消化器疾患)
- 胆石溶解療法の適応と限界 (臨床医のための胆道疾患のみかた)
- 学際研究と「サロン・ド・SM」 (教育改革と筑波大学)
- 第24回日本急性肝不全研究会 : 一般演題
- 胃切除後に発症して,舞踏病様不随意運動を伴い,インスリンに対する自己抗体を証明しえた低血糖症の1例
- 成人に見られたhemolytic uremic syndromeと思われる1例
- 第33回日本肝臓学会総会記録 (3) : ワークショップ(1) 肝発癌とその制御
- (4)胆石症の成因
- 本例にアルブミン製剤の投与の必要はないとする立場から (第1土曜特集 輸液・栄養療法--EVIDENCE & CONTROVERSY) -- (アルブミン製剤投与の適応基準)
- 肝細胞癌における異常プロトロンビン(PIVKA-II)とその変動 : モノクローナル抗体を用いたELISAによる測定
- タウリン投与により筋痙攣が消失した肝硬変の症例
- 狙撃生検による肝表面ICG着色像の評価 : 被膜下組織像およびリガンディンとの対応
- 腹腔動脈起始部の完全閉塞を伴った後下膵十二指腸動脈瘤とその破裂の症例
- 切除不能肝細胞癌に対する自己脾細胞より誘導した Lymphokine-activated killer 細胞の肝動脈内注入と抗癌剤懸濁リピオドール動注を併用した2症例
- 胃腸疾患における血清胆汁酸分画測定と経口胆汁酸負荷試験の臨床的意義
- 胃潰瘍の再発と胃液分泌 : 胃角部近傍潰瘍における tetragastrin 刺激に対する胃液分泌反応性の検討
- 十二指腸潰瘍の再発と胃液分泌 : tetragastrin 刺激に対する胃液分泌反応性の検討
- HBVキャリアの肝細胞および肝癌細胞におけるHBV DNAの存在様式
- 直腸癌と食道原発燕麦細胞癌の同時性重複癌の1例
- HBe抗原陽性慢性活動性肝炎に対する : インターフェロン-βの急速静注法の有効性
- Induction of CD4+Leu 8- lymphokine-activated killer (LAK) cells by recombinant interleukin 2 in gastric cancer patients, and augmentation of LAK cell activities by addition with exogeneous recombinant interferon .GAMMA. and immunological phenotypic analys
- Expression of Ha-ras oncogene product, p21 in gastric carcinoma.
- A case of ulcerative colitis with two early colonic cancers and eleven colonic adenomas.
- タイトル無し
- 肝疾患における血清胆汁酸測定の臨床的意義
- The growth pattern of woodchuck hepatocellular carcinoma. Analysis of abdominal echogram pattern and WHV DNA integration pattern.:Analysis of abdominal echogram pattern and WHV DNA integration pattern
- タイトル無し
- Immunochemical porperties and immunohistological localization of human liver glutathione S-transferase isozymes.
- 急性腹膜炎を合併した胆嚢癌の虫垂転移の1例
- 非定型的な潰瘍性大腸炎に合併した無症候性肝内型原発性硬化性胆管炎の1例
- A case of eosinophilic peritonitis.
- タイトル無し
- タイトル無し
- Establishment of a new cell line from a woodchuck hepatocellular carcinoma.
- New treatment for operation non-adaptation cancer.8.New proton beam radiation therapy for unresectable hepatoma.
- An autopsy case of synchronous primary cancer of the liver and male breast.
- A simple and sensitive assay of total serum bile acids
- Pathophysiology of the recurrence of duodenal ulcer. Quantitative ultrastructural analysis of parietal cells after tetragastrin.:Quantitative Ultrastructural Analysis of Parietal Cells after Tetragastrin
- 肝に著明な鉄沈着を示した myelodysplastic syndrome の1例
- タイトル無し
- タイトル無し
- タイトル無し
- Urinary level of N-acetyl-.BETA.-D-Glucosaminidase in liver diseases.