鉄の水酸化物沈殿の沈降体積に及ぼす陰イオンの影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
水酸化鉄の見かけの沈降体積および水酸化鉄の溶解度積に及ぼす共存陰イオンの影響について調べた.<BR>水酸化鉄コロイドの凝集による沈降体積は,陰イオンの種類によって影響され,NO<SUP>-</SUP><SUB>3</SUB><Cl<SUP>-</SUP><SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>の順に体積は増大する.<BR>尿素法による単核錯体状態から生成した沈殿においては,その沈降体積は,NO<SUP>-</SUP><SUB>3</SUB><Cl<SUP>-</SUP><SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>の順に大になる.しかし,少量の硫酸塩の共存は,好結果を与える.オール化化合物が一部生成しているような条件から沈殿させる場合は,沈降体積は,SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP><Cl<SUP>-</SUP><NO<SUP>-</SUP><SUB>3</SUB>の順になる.<BR>これらの実験結果から,沈降体積はおもに鉄(III)のオール化化合物(一次コロイド粒子)の大きさによって決まり,またその大きさは,水酸化鉄の見かけの溶解度積(Fig.1)と,鉄への水酸イオンの配位速度に及ぼす共存硫酸イオンの緩衝作用によって支配されるとして説明した.水酸化アルミニウムの場合も同様にして説明できるが,ある種の有機酸については,有機酸のpH緩衝作用も考慮する必要がある.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
-
林 謙次郎
北海道大学理学部化学科
-
太秦 康光
北海道大学理学部化学教室
-
井上 博之
北海道大学理学部分析化学教室
-
塗師 幸夫
北海道大学理学部分析化学教室
-
林 謙次郎
北海道大学理学部
-
林 謙次郎
北海道大学理学部分析化学教室
-
太秦 康光
北海道大学理学部
関連論文
- テルル,セレン,クロムの薄層クロマトグラフィー
- 陽イオン交換樹脂によるルテニウムの分離
- 4無機ポーラログラフ分析
- 鉄の水酸化物沈殿の沈降体積に及ぼす陰イオンの影響
- TBP抽出法による鉄とテルルの分離
- ギ酸-過酸化水素を用いる均一溶液からの鉄の沈殿
- エチレンクロルヒドリンを用いる水酸化アルミニウムの沈殿
- EDTAを用いるバリウムと鉛の分離
- 酢酸エチルならびにTTA-キシレン抽出法によるジルコニウムの分離
- イオン交換樹脂によるテルルの分離
- 分析化学的立場から見た温泉の微量成分 : 本会第2回総会(昭和36年3月31日)における特別講演
- 放射性テルルの分析(I)担体による分離,定量
- 天然水中の臭素,ヨウ素の定量法
- 均一沈澱法
- 溶液噴霧法による簡易分光定量法
- 紫外部吸収による無機化合物の分析
- 吸收分光分析の沿革と方法
- 土壌中の置換性ニッケルの吸光光度定量
- メチルイソブチルケトンを用いるアルミニウム,ビスマス,クロム,コバルト,銅,ニッケルおよびセレンからの微量テルルの分離
- タイトル無し