エチレンクロルヒドリンを用いる水酸化アルミニウムの沈殿
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概要
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エチレンクロルヒドリンのアルカリ性溶液中における加熱分解反応を利用して,均一溶液から水酸化アルミニウムの沈殿を生成する方法を提出した.本法により,pH4〜8において完全でち密な沈殿が得られた.<BR>この方法を用いて生成した沈殿の沈降体積,陰イオンの共沈殿量,および水酸化アルミニウムコロイドを種々陰イオンを用いて凝結させた沈殿の沈降体積を測定した.この結果を用いて,沈殿生成過程を核発生および成長(一次粒子の生成)と,一次粒子の凝結(二次粒子の生成)過程にわけ,沈殿のち密さを支配する要因を考察した.その結果,エチレンクロルヒドリンを用いる沈殿法について次のようなことがわかった.<BR>i)沈殿のち密さは一次粒子の大きさによって決まる.エチレンクロルヒドリン法の場合は,尿素法の場合に比べ,沈降体積に及ぼす陰イオンの影響は小さく,また一次粒子はpHの降下速度によって決まる.<BR>ii)一次粒子の界面に陰イオンが吸着して凝結し,二次粒子が形成される.<BR>iii)沈降体積の陰イオンの種類による変化は,主として凝結の効果が表われているものと考えられ,その影響の大きさはSO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>>Cl<SUP>-</SUP>>NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>の順序である.<BR>iv)硫酸イオン,クロム酸イオンの共沈殿量Mは次式に従う.<BR>logM=const.+<I>a</I>log[A]+<I>b</I>pH<BR>ただし,[A]は陰イオンの濃度,<I>a</I>,<I>b</I>は定数である.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
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林 謙次郎
北海道大学理学部化学科
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太秦 康光
北海道大学理学部化学教室
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塗師 幸夫
北海道大学理学部分析化学教室
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林 謙次郎
北海道大学理学部化学科分析化学教室
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林 謙次郎
北海道大学理学部
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太秦 康光
北海道大学理学部化学科分析化学教室
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太秦 康光
北海道大学理学部
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塗師 幸夫
北海道大学理学部化学科分析化学教室
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