剣沢における多年性雪渓の研究 (III) : 雪渓表面における熱収支
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概要
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中部山岳北西部の剣沢圏谷において, 雪渓表面の融雪に寄与する熱エネルギー源を明らかにするために, 1968年と1969年に合計6か月間の融雪・気象観測を実施し, 熱収支式の各項の値を求めた.<BR>全融雪期間 (1968年6月~9月) を通しての各熱源の比率は, 短波長放射収支量<I>Q<SUB>S</SUB></I>が59%, 顕熱輸送量<I>Q<SUB>T</SUB></I>が23%, 潜熱交換量<I>Q<SUB>E</SUB></I>が15%, 雨による熱の輸送量<I>Q<SUB>P</SUB></I>が2%であった.熱損失としては, 融雪熱量<I>Q<SUB>M</SUB></I>が97%を占めた.<BR>熱収支項のうち, <I>Q<SUB>S</SUB></I>については融雪期間中の変化は小さいが, <I>Q<SUB>T</SUB></I>と<I>Q<SUB>E</SUB></I>とは7月と8月に大きく増加する.特に<I>Q<SUB>E</SUB></I>にその傾向が著しい.融雪量も7月から8月にかけて増加するが, これは<I>Q<SUB>T</SUB></I>と<I>Q<SUB>E</SUB></I>の増加にほぼ見合ったものである.<BR>顕熱輸送量<I>Q<SUB>T</SUB></I>及び潜熱交換量<I>Q<SUB>E</SUB></I>の計算式は, 雪渓表面における水蒸気凝結量の測定実験の結果にもとついて決定した.これらの計算式によると, <I>Q<SUB>T</SUB></I>及び<I>Q<SUB>E</SUB></I>は過去に得られている実験式を用いた場合よりもやや大きく算出される.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
著者
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大畑 哲夫
名古屋大学大気水圏科学研究所
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大畑 哲夫
海洋機構
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樋口 敬二
名古屋大学水圏科学研究所
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樋口 敬二
名古屋大 水圏科研
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樋口 敬二
名古屋大学
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森林 成生
日鉱探開 (株)
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森林 成生
日鉱探開
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