剣沢における多年性雪渓の研究 (II) : 剣沢圏谷の夏期の気候と融雪過程
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概要
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飛騨山脈, 立山の剣沢圏谷において, 1968年と1969年の融雪期に実施した融雪・気象観測から以下の結果を得た.<BR>1) 1968年の6月初めから9月末までの4ヵ月間の融雪量は, 圏谷上部 (標高約2,740m) で607.9g/cm<SUP>2</SUP>, 圏谷下部 (標高約2,520m) で592.1g/cm<SUP>2</SUP>であった.同じ4ヵ月間の平均気温は, 圏谷上部で6.7℃,圏谷下部で8.4℃である.<BR>2) 融雪量の季節的な増減は, 気温および水蒸気圧の変化に最も強く依存する.<BR>3) 剣沢圏谷内の気温および水蒸気圧の分布は, 8月上旬~中旬を境として, その前後で性質を異にしている.この変化の主な要因として, 圏谷内における積雪域面積の縮小が考えられる.<BR>4) 剣沢圏谷上部における融雪最盛期の融雪量, 気温, 水蒸気圧等は, アラスカ, ノルウェー, パタゴニアなどの海岸近くに分布する氷河の消耗域における夏季のそれぞれの値に近いことがわかった.<BR>5) 剣沢圏谷の気温, 風速, 日射量は, それぞれ輪島上空の気温, 風速, 富山の気温, 日照時間と比較的よい相関のあることがわかった.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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