実験的除神経・廃用筋の収縮弛緩にかんする研究ジストロフィー筋との対比検討を中心として
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概要
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筋細胞の諸性質が神経制御下にあることは周知のことであるが,一方筋自体にその制御機構があることも事実である.本研究はactive stateの概念のもとに,家兎の実験的除神経,廃用筋の収縮弛緩機構を調べ,その結果とヒト・ジストロフィー筋とを対比検討し,本病の成因,病態にかかわるneurotrophic factorの役割と限界,および筋自体のactivityの演ずる役割を調べた. (1)筋小胞体Ca++動態を反映する単収縮張力発生加速度低下や, β受容体を介する対エピネフリン異常反応は,除神経筋のみに認めた. (2)筋小胞体Ca++動態のみでなく,トロポニンによるCa++-binding以後のプロセスや,収縮蛋白を表現する単収縮張力弛緩時間,階段現象,強縮負荷後誘発単収縮張力の弛緩時間延長現象,強縮張力とその発生速度など諸指標の異常は,除神経,廃用両筋群に認めるが,後者で著明であつた. (3)筋小胞体Ca++遊離・結合過程に作用するカフェインに対し,ヒト・ジストロフィー筋同様正常以下の反応を示すのは廃用筋であつた. (4)カフェインとは一部異るステップを介し興奮収縮連関に作用するダントロレンには,ジストロフィー,除神経,廃用三筋群とも正常反応を示した.以上の諸結果から,本病の病態をもたらす機序には,神経,筋両因子異常の重合が多く,単一でない複雑さが示唆された.
著者
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高守 正治
金沢大学神経内科
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辻畑 光宏
長崎大学医学部第一内科 教授
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井手 芳彦
長崎大学医学部第一内科
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高守 正治
長崎大学医学部第一内科
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森 正孝
長崎大学医学部第一内科
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迫 竜二
長崎大学医学部第一内科
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辻畑 光宏
長崎大学医学部第一内科
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