粘液水腫にさまざまな神経症状を伴い特に小脳失調症が顕著だつた1例
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概要
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患者は56才,主婦.昭和52年頃より言語不明瞭,歩行不安定,上肢の運動が拙劣となつた.昭和55年9月上記症状が増悪したため,同年10月,当科に入院した.入院後の病歴聴取により,昭和51年頃より,耐寒性の低下,頭髪の脱毛,皮膚乾燥等の症状が出現していたことがわかつた.入院時,うつ状態,皮膚乾燥,断綴善語,眼振,企図振戦,失調性歩行, pro1onged relaxation phase of ankle jerkおよび筋mounding徴候陽性であつた.甲状腺軽度弾性硬,心濁音界軽度拡大.甲状腺検査では,血中T3, T4の著明低下. TSHの著明な上昇. TRHテストで前値が高く過剰反応を示し,甲状腺生検では慢性甲状腺炎の所見を呈し,慢性甲状腺炎による原発性甲状腺機能低下症の診断をえた.筋電図では異常なし.知覚神経伝導速度は遅延していた.上腕二頭筋生検では, Type II fiber atrophyの所見がえられた,入院後, 1-thyroxineの投与を開始したところ,小脳失調症状は,次第に改善している.また,知覚神経伝導速度の遅延も改善してきている.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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辻畑 光宏
長崎大学医学部第一内科 教授
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井手 芳彦
長崎大学医学部第一内科
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高守 正治
長崎大学医学部第一内科
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高柳 芳彦
長崎大学医学部第一内科
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佐藤 聡
長崎大学医学部第一内科
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吉村 和弘
長崎大学医学部第一内科
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迫 亀二
長崎大学医学部第一内科
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長滝 重信
長崎大学医学部第一内科
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辻畑 光宏
長崎大学医学部第一内科
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