ヒト肝細胞ライソゾームに同定された銅および鉄とそれらの臨床的意義
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概要
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各種慢性肝疾患患者の生検組織33検体をグルタール固定後,凍結超薄切片を作成した.エネルギー分散型X線分析器を装着した電子顕微鏡を用いて肝細胞内小器官,特にライソゾームの元素分析をした.銅は33検体中30検体に,鉄は16検体に認められた.両金属は常に硫黄を伴っていた.銅と硫黄はY=1.31X+0.66(r=0.88)と相関を認めたが,鉄と硫黄には相関がなかった.Wilson病や原発性胆汁性肝硬変では,銅の胆汁中への排泄障害によりこの元素の肝臓内蓄積が起こる.脂肪肝と慢性肝炎において肝細胞ライソゾームに高頻度に銅が証明されたのは,これらの病態時には潜在性の胆汁排泄障害のため,肝臓に銅が貯留するのであろう.このように種々の慢性肝疾患において,過剰な銅は肝細胞ライソゾームで含硫蛋白と複合体を形成しその毒性を軽減していると考えられる.
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