急性及び慢性HBV感染状態における血中HBs抗原含有免疫複合体の臨床的意義
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概要
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急性B型肝炎及び慢性HBV感染例に血中HBs抗原含有免疫複合体(以下IC)を測定し以下の結論を得た.急性B型肝炎ではICはHBs抗原の出現にやや遅れ陽性となり両者はほぼ平行して推移し,HBs抗原の消失と同時に消失した.前駆期より観察しえた2例ではICの最高値の時期に一致して発疹,関節痛が出現し,同時に血清補体価の低下がみられた.これよりICはHBs抗原の排除に関与すると同時に,一部の例では肝外症状の発現に関与することが示唆された.一方,無症候性キャリアでは,ICは11%にしか出現しなかったのに対して慢性肝疾患群では44%と高率に出現した.また,s-GPTの正常例では大部分がIC陰性であったのに対してs-GPT上昇例ではICの出現頻度,血中濃度はともに上昇した.経時的に観察しえた例ではs-GPTの上昇,下降と相前後してICの量も増減し,ICの出没が肝細胞破壊と平行して変動している所見をえた.
著者
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田中 慧
東京都立駒込病院内科
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大竹 寛雄
東京都立駒込病院 肝臓内科
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伊瀬 郁
東京都臨床医学総合研究所肝炎部門
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原田 英治
東京都立駒込病院内科
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大林 明
東京都立駒込病院感染症科
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清水 勝
東京都立駒込病院輸血科
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坂本 久浩
東京都立駒込病院輸血科
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高井 恵美子
東京都臨床医学総合研究所肝炎部門
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津田 文男
東京都臨床医学研究所
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相原 忍
東京都臨床医学研究所
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高井 恵美子
東京都臨床医学研究所
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