良性術後肝内胆汁うっ滞症の一例
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概要
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腹部腫瘍のため開腹手術を受けた73歳の女性に肝内胆汁うっ滞症を認めた.手術はG.O.F.麻酔で行われ,この際5単位の保存血が輸血された.手術は約2時間で終ったが,翌日急速に黄疸を発症した.皮膚掻痒感や肝脾腫は認めなかった.血清ビリルビン値は9.7mg/dl(直接型70%)まで増加したのに対して,血清トランスアミナーゼの強い上昇は認めなかった.手術後17日目の肝生検像では,肝細胞内にビリルビンのうっ滞,毛細胆管に胆汁栓を認めたが,肝細胞の変性・壊死はなく,また細胞浸潤もみられなかった.<BR>経過は良好で黄疸および検査所見は1カ月後には正常化した.本症例はSchmidの記載にみられる良性術後肝内胆汁うっ滞症に該当しており,おそらく手術侵襲により術後一過性に肝細胞レベルでの胆汁分泌障害を起したと推測されるが,さらに今後詳細な検討が必要であろう.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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茂在 敏司
大阪医科大学第一内科
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菱谷 好高
大阪医科大学第一内科
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大林 明
東京都立駒込病院感染症科
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原田 英治
大阪医科大学第1内科
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浜田 偉文
大阪医科大学第1内科
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茂在 敏司
大阪医科大学第1内科
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菱谷 好高
大阪医科大学第1内科
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