アブミ骨摘出術後の内耳障害
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本邦において耳硬化症は少なく,アブミ骨摘出術を行なう機会も稀である.しかし聴力改善を目的とした二次的鼓室成形術に際しアブミ骨外科が重要な課題となつて来た.この機会にアブミ骨摘出術後に起る内耳障害の頻度,原因,対策などについて熟知しておく意義は大きいと考える.著者らはアブミ骨摘出術を行つた734例の術後聴力および100例の平衡機能を検査し,自から行なつたアブミ骨摘出術も23例となつたのでここにその成績を発表した.術後聾となつたものは734例中4例(0.5%)であり,自験例では認めなかつた.1年後に骨導聴力が10dB以上悪化した症例は326例中21例(6.4%)であり,自験例では2例(8-7%)に認めた.術後一過性の平衡障害は一般に術側前庭のHypertonieを経て正常に戻るものが多いが,全例を詳しく見ると6型に類型化できた.廃絶例の2例を除けば全例正常に回復した.術後長期に続く平衡障害は自験例13名中1名に頭位変換性めまいを認め,各種平衡機能検査を行なつた結果,阪大式振子様回転検査において,耳石系を主とする内耳障害があるものと推察した.文献的考察を加え,内耳障害の原因,予防策などについて紹介した.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
関連論文
- 第34回 日本平衡神経科学会
- 第33回 日本平衡神経科学会秋季学会
- メニエール氏病患者の眼球結膜血管観察
- 1.前庭感覚上皮の受傷性について/2.耳中毒性薬物による内耳病変/3.免疫学的手法による実験的平衡障害/4.前庭性外直筋活動について/5.平衡機能検査成績の経過観察/6.メニエール病長期観察例より得たる知見
- 前庭器管の基礎的研究一般演題/頭位,頭位変換眼振の診断的意義/自発眼振におよぼす前庭性,視運動性刺激の影響-その1-/自発眼振におよぼす前庭性視運動性刺激の影響-その2-/温度検査と回転検査の成績が解離した場合の診断的意義/前庭器官の基礎的研究 シンポジウム(1)[生理]/前庭器官の基礎的研究 シンポジウム(II)[形態・生化学]/前庭器官の基礎的研究 シンポジウム(III)[病態]/CPC/展示
- 簡易な阪大式バネ式回転椅子による回転検査法
- バネ式減衰回転椅子による回転検査法 : Rotatory Pattern Test の一つの試み
- アブミ骨摘出術後の内耳障害
- 頭頸部悪性腫瘍のTNM分類, その拡大適用およびコード化した記録法についての試案
- Stapedektomieの経験とその成績に関連する要因の検討