頭頸部悪性腫瘍のTNM分類, その拡大適用およびコード化した記録法についての試案
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概要
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頭頸部悪性腫瘍のうちUICCにおいて未決定の部位のTNM方式による進展度分類を試みた. その部位は上顎洞, 篩骨蜂巣, 前頭洞, 蝶形骨洞, 鼻腔, 外鼻, 中耳, 外耳, 耳下腺, 顎下腺, 気管および眼窩である.<BR>分類は各部位の特殊性を考慮して, 各部位ごとになされたが, そこにはおのずから共通した原則がみられる.<BR>T1: 腫瘍は最大径2cm以下, 深部へ浸潤しない. 骨破壊を認めず, 洞内, 腔内あるいは腺内に限局する.<BR>T2: 腫瘍は最大径2cmを越えるか4cm以下, あるいは深部へ浸潤するが, その部位を越えない. 骨破壊を認めるが, 同名骨の外側の骨膜, あるいは腺被膜はなお保存されている.<BR>T3: 腫瘍は最大径4cmを越えるか, 6cm以下, あるいはその部位を越えて周囲組織に浸潤する. 外側の骨膜, あるいは腺被膜を破って周囲への浸潤ないし固着を示す.<BR>T4: 腫瘍は最大径6cmを越える. あるいは頭蓋底, 頭蓋腔, 頸椎, 下顎骨, 深頸筋, 頸動脈, 胸腔のような重要隣接構造に進展する.<BR>NM分類については従来のものに従う.<BR>Stage分類はT分類を主軸にするがN1〜2はStage IIIに, N3, M1はStage IVに属させる.<BR>TNM分類の拡大解釈として, まず癌腫以外の悪性腫瘍の場合, とくに支障を伴わないかぎり, 組織診断を付けてそれを利用する. また治療経過中の腫瘍進展度を記載するために, その所見を得た日付を記入して, 同じ分類方式を用い, TNM分類と呼称して初診時のものと区別する.<BR>電子計算機による記録を前提として臨床所見のコード化記録を提唱した. 今回は登録番号5桁, 初診日6桁, 性1桁, 生年月日6桁, 疾患名4桁, 組織診断4桁, 治療開始日6桁, TNM分類5桁, Stage 1桁, 組織学的悪性度1桁, 患側1桁, 進展部位3桁, 原発および転移腫瘍の最大径2桁についてコードを定めた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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