Reserpine連用ラットの“Methamphetamine-StereotypyおよびHypermotility”に関する研究―Chlorpromazine脳内注入の効果―
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概要
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ラットへのreserpine(RE)の連用は,methamphetamine(MAPT)によるstereotyped licking(SL),biting(SB)activityとhypermotility(HM)を著明に促進する.この作用機序をしらべる一助として,MAPT投与前にchlorpromazine(CP)を脳注したラットのSL,SB,HMを観察した.実験方法としては,ラットに生理食塩液(生食液)もしくはRE(1.25mg/kg i.c.)を隔日に13日間投与し,その最終注射23時間後にCP(125μg,250μg,625μgもしくは1mg/rat i.c.)をValzelli法によって脳注し,さらにその1時間後にMAPT(10mg/kg i.p.)を投与し,その後のSL,SB,HMを測定した.その結果,1)脳注されたCPは,<SUP>35</SUP>Sのトレーサー実験によって30分後には脳全域に分布していることが確認された.2)生食液連用ラットにMAPTを投与したときは,その大多数にSLとSBが生じた.しかしCPをあらかじめ脳注しておくと,いずれの投与量においてもSL,SBの出現は殆ど抑制された.3)RE連用ラットにMAPTを投与したときは,ほぼ全例にSBが生じ,さらにその大多数にいわゆる“bizarre-biting behaviour”(BSB,自身もしくはcagemateの尾部,前後肢を咬みつづける行動)が認められた.これに対してCPをあらかじめ脳注しておいた群では,その大量投与群(CP625μg/rat i.c.)の場合でもSBは部分的に抑制されたのみであったが,BSBの出現頻度は著明に減少した.4)MAPT投与によるHMは,生食液連用ラットの場合では,CPを併用しても著るしい変化はなかった.これに対してRE連用ラットでは生食液連用ラットを上まわるHMを示したが,CPを併用するとその量が増すにつれて抑制度がたかまった.これらの成績から,CPの脳注はRE連用ラットにおけるMAPTのHMを著明に,SBを部分的に抑制することが明らかとなった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
小林 雅文
日本大学歯学部薬理学教室
-
越川 憲明
日本大学歯学部薬理学教室
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佐野 久
日本大学歯学部薬理学教室
-
戸塚 佳男
日本大学歯学部薬理学教室
-
古内 武人
日本大学歯学部薬理学教室
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酒井 公三
日本大学歯学部薬理学教室
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重原 りゅう子
日本大学歯学部薬理学教室
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