Guanfacineの心臓・冠循環・心筋エネルギー代謝に対する作用について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
新しく開発されたguanfacine(G)の心臓,冠循環,心筋エネルギー代謝に対する作用をclonidine(C)の作用と比較検討した.モルモット左心房標本では両薬物とも10<SUP>-8</SUP>〜3×10<SUP>-5</SUP>g/mlで収縮張力を増大せしめ,これらの作用は,tripelennamine(T),metiamide(M)およびPropranolol(Prop)によって抑制された.一方10<SUP>-8</SUP>〜10<SUP>-6</SUP>g/mlによる収縮張力増加作用はphentolamine(Phentol)によっても抑制された.右心房標本の拍動数に対しては両薬物とも10<SUP>-8</SUP>〜3×10<SUP>-6</SUP>g/mlまで殆んど作用がなかったが,それ以上の濃度でGでは拍動数減少,Cでは増加が認められた.Gによる減少はいずれのblockerによっても殆んど影響されなかったが,Cによる増加はMによって著明に抑制された.右心房の収縮張力に対しては両薬物ともこれを増大せしめたが,Gの場合3×10<SUP>-5</SUP>g/ml以上の濃度では減少を起した.Gによる陽性変力作用はpropおよびTによって抑制され,Mによってもかなり抑制された.一方CのそれはTでもかなり抑制されたが,Mによって著明に抑制された.イヌ心肺標本ではG(100μg,1mg)およびC(30,100μg)で冠血流量の減少(Gの作用はCの約1/2〜1/3)と右心房圧の上昇が認められ,それらの作用はPhentolにより抑制された.心拍数および心筋収縮力に対しGは殆んど影響を及ぼさなかったが,Cはそれらを僅かに抑制した.心筋酸素消費は何れの場合も僅かに減少し,心筋酸化還元電位は陽性化の傾向を示した.これを要約するとモルモット摘出心房標本に於てやや高濃度のGでみとめられる陽性変力作用にはヒスタミン受容体(右心房では,H<SUB>1</SUB>,左心房ではH<SUB>1</SUB>およびH<SUB>2</SUB>)とアドレナリン作働性β受容体が関与(左心房で10<SUP>-6</SUP>g/mlまでの作用にはα受容体も関与)すること,さらに高濃度(10<SUP>-5</SUP>g/ml以上)では心筋直接作用による陰性変時作用が現われる事になる.一方イヌ心肺標本では主としてα受容体を介する冠血管と肺動脈の収縮,心筋酸化還元電位の陽性化が認められ,心筋酸素消費量も僅かに減少した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
今井 昭一
新潟大学医学部薬理学教室
-
仲川 義人
新潟大学医学部薬理学教室
-
片野 由美
山形大学医学部基礎看護学
-
大鳥居 健
山形大学医学部薬理学教室
-
嶋本 典夫
新潟大学医学部薬理学教室
-
酒井 賢
新潟大学医学部薬理学教室
-
片野 由美
山形大学医学部薬理学教室
関連論文
- 食餌性高コレステロール血症ラットの血小板機能に対する赤ワインポリフェノール成分長期摂取の効果
- PP-507 加齢により増加するアトロピン抵抗性膀胱収縮に対する各種抗コリン薬の作用(その他,一般演題ポスター,第97回日本泌尿器科学会総会)
- 36 新生児心筋保護における組み替えヒト superoxide dismutaseの作用
- 215. イヌ不整脈に対するdisopyramideの有効血中濃度 : 抗不整脈薬 : 第44回日本循環器学会学術集会
- 0699 血管平滑筋ミオシン軽鎖脱リン酸化酵素130kDa調節サブユニットの性質 : cyclic GMP依存性蛋白質リン酸化酵素によるリン酸化とG1蛋白質との類似性
- 0183 実験的自己免疫性心筋炎(EAM)ラットにおける血行動態と心筋誘導型NO合成酵素(iNOS)発現の経時的変化
- 血管平滑筋収縮張力発生に対するp38 MAP kinase阻害薬の効果: 摘出ラット大動脈における検討
- ラット大動脈におけるアンジオテンシンII-チロシンキナーゼ活性化経路と血管平滑筋収縮機序
- 老齢ラット心機能に対するエンドセリン-1の作用 : 摘出心臓潅流標本における検討
- 加齢によるエンドセリン-1の冠血管反応性の変化 : 内皮細胞の役割
- 34 新生児の心筋保護におけるカルシウム拮抗薬の効果について
- 脳循環に対するAdenosineおよびCatecholaminesの作用について (第1回臓器循環研究会)
- cGMP依存性プロテインキナーゼのcyclic GMPによる活性化を選択的に抑制する物質であるRp-8-Br-guanosine 3',5%-cyclic monophosphorothioate (Rp-8-Br-cGMPS)の、ニトログリセリン、ニトロプルシッドによるラット大動脈平滑筋弛緩に対する作用
- Etafenone Hydrochlorideの心筋エネルギ-代謝に対する作用
- 血管平滑筋Ca2+-pump ATPaseの活性制御 (高血圧の成因とCa2+)
- いわゆる亜硝酸化合物の血管拡張作用の機序 (血管拡張機構解明における最近の進歩)
- 31P-NMRの医学への応用
- ノルアドレナリンで収縮させたラット大動脈平滑筋のニトログリセリン,ニトロプルシドによる弛緩 : ノルアドレナリン濃度とカリウムチャンネル活性化の関連について
- 赤ワイン・ポリフェノールの健康効果について
- 薬に関するデータベースをインターネットに
- NO関連血管拡張薬の作用機序
- NO関連血管拡張薬の作用機序
- 形質膜Ca2+-pump ATPase : ―平滑筋弛緩機序理解の為に―
- 3,4-Diaminopyridineによるブタ冠動脈標本の周期性収縮に対する血管拡張薬の作用
- 虚血性心疾患--新しい抗狭心症薬
- 31P NMRの循環薬理学研究への応用 (循環器薬理学--薬動力学を中心に)
- プロスタグランジンと心臓病態生理 (薬物による心臓障害)
- Rheoangiometryの基礎的検討(含 討論) (新しい血流測定法)
- GuanfacineのPre- およびPostsynaptic α-adrenoceptorに対する作用-Clonidineとの比較検討
- 収縮間隔の変化による心筋収縮力の変化 (心筋)
- Guanfacine(BS100-141)の中枢神経系に対する作用について
- 核磁気共鳴分光法(NMR)の生物への応用 心筋代謝研究を中心として
- 抗不整脈薬 Bunaftine の心室筋活動電位に対する作用
- 82) 所謂冠血管拡張薬の冠動脈の太い部分に対する作用について : 冠循環 : 第40回日本循環器学会総会講演会一般演題追加討論(I)
- 82.所謂冠血管拡張薬の冠動脈の太い部分に対する作用について : 第40回日本循環器学会学術集会 : 冠循環
- Labetalolのαおよびβ遮断作用と冠循環,心機能,心筋エネルギー代謝に対する作用について
- 新しいβ遮断薬KÖ 1400の供血犬つきイヌ心肺標本における作用,後肢灌流標本におよぼす作用について
- 新β-adrenergic receptor blocking agent,d1-1-(tert.butylamino)-3-((2-propinyloxy)phenoxy)-2-propanol hydrochloride(dl Kö1400-Cl)の実験的抗不整脈作用について
- 強い内皮依存性血管弛緩作用をもつ新たな赤ワインポリフェノールの特性
- 新しい降圧薬SGB-483の降圧作用とその機序について
- ウサギ脳室内投与によるProstaglandinsおよびArachidonic acidの血圧反応
- モルモット下腹神経節隔絶標本に対するピクリン酸の選択的投与による効果
- 新しいβ受容体遮断薬,Bopindolol 及びその代謝産物のβ遮断作用と部分作用薬活性,膜安定化作用について
- Guanfacineの心臓・冠循環・心筋エネルギー代謝に対する作用について
- Dilazepの冠循環・心機能および心筋エネルギー代謝に対する作用について
- 無麻酔動物の血圧及び心拍数に対する薬物の作用の研究 : (1)β-遮断薬の作用
- ラットにおける Guanfacine の降圧作用について
- 三種の高血圧病態モデルラットにおける Labetalol の降圧作用について
- Young氏液(YNG液)の心機能およびミトコンドリア呼吸能におよぼす作用 ―30°C,1時間虚血下における作用―
- DOCA-saline高血圧ラットの血圧および尿量尿中Na,K排泄量に対する数種β遮断薬およびサイアザイド利尿薬Penfluzideの作用
- タイトル無し
- タイトル無し
- タイトル無し