Labetalolのαおよびβ遮断作用と冠循環,心機能,心筋エネルギー代謝に対する作用について
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概要
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αとβの両受容体を遮断する新しいタイプの薬物であるlabetalolのα遮断作用およびβ遮断作用について検討すると同時に,冠循環,心機能および心筋エネルギー代謝に対する作用についてモルモットおよびイヌを用いて検討した.その結果labetalolのα遮断作用はphentolamineのそれの1/3.6〜1/5.9であり,β<SUB>1</SUB>遮断作用はpropranololのそれの1/1.4〜1/3.6,β<SUB>2</SUB>遮断作用はpropranololのそれの1/6であった。α遮断作用とβ遮断作用との比較ではα遮断作用に比しβ遮断作用の方が強力で,β<SUB>1</SUB>遮断作用はα遮断作用の12〜28倍,β<SUB>2</SUB>遮断作用はα遮断作用の約7倍であった.またβ<SUB>1</SUB>遮断作用のうちでは心拍数に対する遮断効果の方が心収縮力に対するそれよりも強力であった.Labctalolそれ自身の作用として摘出心房標本において陽性変時作用,陽性変力作用が認められた.また,気管平滑筋で弛緩作用が認められた.これらの作用はpropranololの前処置によって,消失あるいは抑制された.モルモット摘出結腸紐標本においては高濃度(10<SUP>-5</SUP>g/ml以上)でCa<SUP>++</SUP>拮抗作用が認められた.陽性変時作用,陽性変力作用は心肺標本においても認められ,6-OH-Dopamineによりカテコールアミン枯渇標本を作製しても同様に認められたが,propranololの前処置によって抑制された.心拍数の増加に対応して心筋酸素消費量の増加が認められた.また,心筋酸素消費量の増加に見合った冠血流量の増加が認められた.心仕事量は僅かに増加し,心仕事効率は多少低下した.心筋の酸化還元電位(ΔEh)は陽性化する傾向を示した.また,心筋のエネルギー源として重要な基質である乳酸,ピルビン酸および血糖の心筋への取込み量およびextraction ratioは減少の傾向を示した.(FFAについては有意に減少した).
著者
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今井 昭一
新潟大学医学部薬理学教室
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仲川 義人
新潟大学医学部薬理学教室
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大鳥居 健
山形大学医学部薬理学教室
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片野 由美
新潟大学医学部薬理学教室
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武田 敬介
新潟大学医学部薬理学教室
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橋本 豊三
新潟大学医学部薬理学教室
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仲沢 幹雄
新潟大学医学部薬理学教室
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塚田 徳昌
山形大学医学部薬理学教室
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