Two compartment modelに基づいた強心ステロイドの効力検定
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概要
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丸ごとの動物にtwo compartment modelの考えを適用し,強心ステロイドの持続注入によって得られる実測値から理論式に従って最小強心量,最小不整脈量,最:小致死量,強心ステロイドの心筋へのとり込まれ易さの指標K<SUB>1</SUB>および分解消失され易さの指標K<SUB>2</SUB>の算出を試みた.強心配糖体の代表としてg-strophanthin,digoxin,ゲニン体の代表としてdigoxigeninを用いた.実験の結果,1)作用の強さはg-strophanthin>digoxin>digoxigeninの順である事,心筋へのとり込まれ易さの指標K<SUB>1</SUB>はdigoxigenin>g-strophanthin>digoxinの順に小さくなる事,分解消失の速さの指標K<SUB>2</SUB>はdigoxigenin>digoxin>g-strophanthinの順である事がわかった.不整脈と強心量との開きで見た安全域はdigoxin>g-strophanthin>digoxigeninの順である事,致死量と強心量との開きで見た安全域はg-strophanthin>digoxin>digoxigeninの順である事がわかった.以上の結果から,ゲニン体は配糖体に比し心筋へとり込まれ易いが,心筋からの消失も速いこと,また作用が弱い事,安全域が狭い事が結論された。2)最小強心量,最小不整脈量,最小致死量は,心肺標本で得られた値とほとんど完全に一致し,心筋内のある部位に一定量の強心ステロイドが蓄積すると特定の作用が現われるという心肺標本での結論がさらに支持された.また,作用部位へのとり込まれ易さの指標の比較から,強心作用と不整脈ないし致死作用とは,作用発現の場が異なるものと結論されたが,これも心肺標本の結果とよく合致している.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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