Clonazepamの中枢作用
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概要
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Clonazepamの中枢神経作用を経口投与によりdiazepamや他抗けいれん薬のそれと比較検討した.Clonazepamはマウスの自発運動を初期に興奮傾向後抑制し,その抑制は6時間後にほぼ回復した.Rearingは著明に抑制した.ラットでは比較的大量で自発運動に影響を与えなかったが,rearingは著明に抑制し,4時間後に回復傾向を示した.マウスのmeth-amphetamineの自発運動興奮作用にtrimethadioneは影響しなかったが,clonazepamは増強させた.Clonazepam,diazepamlまラットの条件回避反応を大量(40mg/kg)で中程度抑制し,その作用持続はdiazepamは短く,clonazepamが長い.定率食餌強化反応では大量で投与1〜2時間後にもっとも抑制し,作用強度はdiazepamが強かった.ラットの筋弛緩作用はclonazepamがdiazepamよりやや強く,またclonazepamはthiopental睡眠時間を延長した.マウスのpentetrazolけいれん抑制の強度はclonazepamが最も強く,diazepamの約22倍,trimethadioneの3,000倍以上,phenytoinの178倍以上であった.Clonazepamとtrimethadioneあるいはphenytoinの併用投与による抗けいれん作用は単独投与時に比較し,trimethadioneは約4倍,phenytoinは約3倍に増強され,作用協力が認められた.Bemegrideけいれん抑制作用はclonazepamはdiazepamより約12〜14倍強かった.Clonazepamはstrychnineけいれんには影響を与えなかった.最大電撃けいれんの抑制作用はclonazepamは弱く,phenacemideの約0.71倍,phenytoinの約0.14倍,phenobarbitalの約0.25倍の強さであった.Clonazepamとこれら抗けいれん薬の併用投与による抗けいれん作用は単独投与時に比較し,phenacemide,phenytoinは5.1倍,phenobarbitalは4.1倍と増強され,作用協力が認められた.マウスの経口投与72時間後のLD50はclonazepam4000mg/kg以上,phenacemide5000mg/kg以上,phenytoin650mg/kgで,clonazepamの毒性は著しく弱かった.Clonazepam500mg/kgとphenacemideあるいはphenytoinの併用投与によるLD50はphenacemidc1140mg/kg,phenytoinl18mglkgで,毒性が増強した.したがってclonazepamはbenzodiazepineとしての中枢作用,とくに強力な抗けいれん作用を有し,その作用は他抗けいれん薬と協力する.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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古川 達雄
福岡大学医学部薬理学教室
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古川 達雄
福岡大・医・薬理
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古川 達雄
福岡大学医学部
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小野 信文
福岡大学薬学部医薬品情報学教室
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小野 信文
福岡大学医学部附属病院 治験管理室
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小野 信文
福岡大学薬学部薬理学教室
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