モルモット肝臓ミトコンドリアアデノシントリホスファターゼに対するイフェンプロジルの作用
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概要
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イフェンプロジルの,モルモット肝臓ミトコンドリアアデノシントリホスファターゼ(ATPase)におよぼす影響を検討した.1)新鮮なモルモット肝臓ミトコンドリアATPase活性を,イフェンプロジルは濃度に応じて促進し,この促進作用はジニトロフェノール(DNP)によって増強された.ミトコンドリアのヌクレオチド分解活性はATP>CTP>ITP>GTPの順に強く,イフェンプロジルの促進作用も基質にATPを用いたときにのみ観察された.イフェンプロジルの作用はMg<SUP>2+</SUP>やCa<SUP>2+</SUP>によって抑制されたが,Na<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>,G-ストロファンチンでは影響を受けなかった.オリゴマイシンはイフェンプロジル存在下のATPase活性を著明に阻害した.またイフェンプロジルの作用は,マーサリールによっても抑制されたが,牛血清アルブミンによってはほとんど影響を受けなかった.KCNはATPase活性を阻害するが,本阻害作用はイフェンプロジルによって完全に回復した.2)50°C,60分間加熱処理したモルモット肝臓ミトコンドリアATPase活性を,イフェンプロジルは濃度に伴って阻害したが,DNPには作用は認められなかった.このミトコンドリアのATP,GTP,ITP分解活性は,ほぼ同程度であったが,イフェンプロジルの阻害作用はATPを基質にしたときが最も弱かった.イフェンプロジルのATPase阻害作用はMg<SUP>2+</SUP>およびCa<SUP>2+</SUP>によって消失したが,Na<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>およびG-ストロファンチンによっては影響されなかった.オリゴマイシンはイフェンプロジルの存否にかかわらずATPase活性を著明に阻害した.以上の結果から,イフェンプロジルは潜在的ミトコンドリアATPaseの活性化と活性化されたミトコンドリアATPaseを抑制する作用があることが判った.特に前者は,イフェンプロジルの有するシアン化合物毒性に対する保護作用の発現に見られたように,本薬物がミトコンドリア膜機能に直接影響してMg<SUP>2+</SUP>およびCa<SUP>2+</SUP>の作用に変化を与えることに起因すると判断される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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