抗炎症剤の局所応用による抗浮腫効果の検定法に関する研究
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概要
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Tonelliらのクロトン油耳介試験法に検討を加え,さらに新抗炎症剤diflucortolone valerate(DFV)の抗浮腫効果を盲検法によってbetamethasone valerate(BTV)と比較した.臨床的に局所応用される抗炎症剤の薬効評価は,動物実験でも局所応用による作用観察が必要である.この目的でのTonelliらのラットにおけるクロトン油耳介試験法には,報告者によって方法にもまた同一薬物の効果にも差がみられる.われわれは起炎剤の塗布方法,塗布時間,クロトン油濃度,耳介のパンチ法などの基礎的条件に検討を加え,フェルト付ピンセットにより一定塗布量(400μl/フェルト)を,15秒間加圧(550g重)しながら塗布し,その後耳介の一部をパンチ(直径10mm)で打ち抜くことにより,充分かつ再現性に富む浮腫を発生きせることができた.起炎剤応用後の浮腫の時間経過では,6〜8時間後がピークであった.起炎剤中のクロトン油濃度と反応(浮腫の強度)の曲線は1〜2%では直線的で5%では斜めとなり,10%ではプラトーに近くなった.5%では浮腫強度は63%となり,実験に適した濃度と考えられた.この方法でDFVおよびBTVの抗浮腫作用を盲検法によって比較検討すると,ED50値はwistar系ラットで,DFV 0.0097mg/ml,BTV 0.26mg/ml,Sprague Dawley系ラットではそれぞれ,0.016mg/ml,0.86mg/mlと,DFVが抗浮腫作用は強く,また本作用にはラットの系による差は極めて少なかった.これらの方法は局所抗炎症ステロイド剤の局所塗布による抗炎症効果の評価に有用と考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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古川 達雄
福岡大学医学部薬理学教室
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古川 達雄
福岡大学医学部
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山田 勝士
鹿児島大・医・臨床薬剤
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山田 勝士
福岡大学医学部薬理学教室
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服部 修造
福岡大学医学部薬理学教室
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箱田 達哉
福岡大学医学部薬理学教室
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宮崎 三千代
福岡大学医学部薬理学教室
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藤 玉枝
福岡大学医学部薬理学教室
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